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VOL.748 平成28年国民健康・栄養調査結果から

2017年10月15日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.748 2017/10/15
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・今月のトピックス:平成28年国民健康・栄養調査結果から
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2017年10月13日 曇り時々雨、のち晴れますように
不妊とのおつきあい
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20171013.html
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2017年10月12日 最新ニュース
飲料の摂取と体外受精の治療成績との関係
http://www.akanbou.com/news/news.2017101201.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


今月のトピックス Oct.2017___________________________________________
 
 平成28年国民健康・栄養調査結果から
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厚生労働省は、毎年、身体状況(体重や腹囲、血圧、血液検査、問診結果)や栄養素摂取状況、生活習慣についての調査を行っていますが、平成28年国民健康・栄養調査結果の概要が公表されました。

結果は、妊娠、出産を目指す女性にとっても大切な視点や情報を提供してくれています。

そこで、30代、40代の女性の栄養素摂取状況をみてみたいと思います。

■ビタミンやミネラルはどれくらい摂れているのか

30代、40代の女性はビタミンやミネラルの必須微量栄養素を摂取できているのか、2015年度版の厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で定められたビタミンやミネラルの必要量(栄養素によっては目安量)を100%として、平成28年国民健康・栄養調査からビタミンやミネラルの平均摂取量の充足率を算出してみましょう。

食事摂取基準の必要量や目安量は妊娠時には初期、中期、後期の付加量を設定しています。そのため、非妊娠時と妊娠初期にわけました。

・30代、40代の女性のビタミン充足率(非妊娠時/妊娠初期)

ビタミンA  67.9% / 67.9%
ビタミンD  107.3% / 84.3%
ビタミンE  100.0% / 92.3%
ビタミンB1 70.9% / 60.0%
ビタミンB2 85.0% / 68.0%
ナイアシン 106.7% / 106.7%
ビタミンB6 79.2% / 67.9%
ビタミンB12 195.8% / 167.9%
葉酸 100.8% / 50.4%
パントテン酸 122.5% / 98.0%
ビタミンC   68.5% / 62.3%

非妊娠時ではビタミンA、B1、B2、B6、Cの平均摂取量が必要量に達していなくて、だいたい、70〜80%の充足率です。ところが、妊娠初期になると、ビタミンD、E、葉酸が加わり、特に、妊娠初期の負荷量が大きい葉酸では50%の充足率になっています。

・30、40代の女性のミネラル充足率(非妊娠時/妊娠初期)

カルシウム  67.5% / 67.5%
マグネシウム 72.4% / 63.6%
鉄      62.9% / 62.9%
亜鉛     90.0% / 62.9%
銅      122.5% /108.9%

ビタミンに比べてミネラルの充足率は低く、非妊娠時に平均摂取量が必要量に達しているのは銅だけで、妊娠初期でも銅以外は60〜70%の充足率です。

このように、ほとんどのビタミンやミネラル、特に、ミネラルの平均摂取量は妊娠時の必要量や目安量に達していないことがわかります。それぞれの摂取量は平均であること、また、調査対象者は保健所からの煩雑な回答への依頼に対して協力された方であり、比較的、健康への意識が高い方であることが推測され、現実には、この数字にあらわれている以上に不足している状況にあるのかもしれません。

■妊娠時の母親の栄養環境の影響を知っておくべき

妊娠初期の子宮内の栄養素の過不足が胎児の成長だけでなく、生まれてからの体質にまで影響を及ぼすことを示す研究データが、どんどん、蓄積しています。

具体的には受精時の母親の栄養状態が悪いと、遺伝子の発現を調節する仕組みが変化して、子宮内での胎児の成長の障害になったり、生まれてからいろいろな病気にかかりやすい体質になってしまったりするというものです。

そのことがわかってきたのは、ほんの、この10年ほどのことです。

要するに、子ども自身のせいではなく、生まれながらに健康的なハンデキャップを抱えてしまう可能性があるという問題なのです。

妊娠時の母親の栄養状態の影響を考えると、現代の日本の女性の栄養摂取状況は、決して、楽観できるような状況ではないことがおわかりいただけたかと思います。

■必須微量栄養素の過不足は食事内容で決まる

一部の栄養素を除き、必須微量栄養素は体内でつくることができません。つまり、これらの栄養素は食事(口)から摂取するものが全てであり、それらの過不足は食事の内容で決まるということです。

それでは、ビタミンやミネラルの平均摂取量が必要量に達していないのはどんな食べ方の結果なのか、平成28年の国民健康・栄養調査の結果の「食品群別摂取量」を10年前と比較することで、考えてみたいと思います。

・30代女性の食品別摂取量「平成28年/平成10年(比)」

穀類(米・小麦類) 368.8g / 277.8g(132.8%)
豆類 57.3g / 60.1g(95.3%)
野菜類 237.2g / 242.5g(97.8%)
緑黄色野菜 73.1g / 81.4g(89.8%)
果実類 56.7g / 78.5g(72.2%)
魚介類 46.3g / 85.7g(54.0%)
肉類 99.1g / 101.7g(97.4%)
乳類 104.0g / 105.6g(98.5%)
油脂類 11.1g / 19.4g(57.2%)
菓子類 30.0g / 21.8g(137.6%)

10年前と比べて、1日の米や小麦などの穀類や菓子類の摂取量が30%以上増えているのが目立ちます。反対に魚介類や油脂類は約半分に減っています。また、果物や緑黄色野菜の摂取量も減っています。

・30代女性の朝食欠食率(平成28年/平成10年)

19.5% / 14.9%

この10年で朝食を食べる習慣がない30代女性は15%から20%に増加しています。

これらの状況に加えて、この10年で加工精製食品の摂取量が増えていることをあわせて考えると、食事の偏りが糖質過多、たんぱく質脂質のバランスの悪化、そして、ビタミンやミネラルの不足招いていると考えられます。

■新しい命のための栄養環境を整える

妊娠初期、中期、後期の各栄養素の必要量や目安量の付加量が設定されているのは、妊娠、出産のためには、自分の身体を維持するだけでなく、子どもの成長のために栄養素が必要になるからに他なりません。

そして、受精時から新しい命の成育がはじまると考えがちですが、卵巣内で原始卵胞が目覚め、発育をはじまつことをスタートと考えると妊娠成立の3ヶ月から6ヶ月前ということになります。

さらに、栄養素のレベルが望ましいレベルに達するまでに一定期間を要することを考えると、妊活とは、食べ方を改善し、必須栄養素を過不足なく摂取することに尽きると言っても決して過言ではありません。

この数年で妊活情報の量は飛躍的に増加しました。

日々、不妊治療を受けて妊娠、出産を目指す女性と接していて感じることは、情報の増加が適切な行動よりも、混乱や不安の増大につながっていることです。

大切なこと、本当に必要なことは、とても、シンプルだと思います。

朝、昼、夜に、主食と主菜、副菜、そして、1日1回は果物や乳製品を食べることです。その上に、葉酸のサプリメントは、必ず、補充すること、もしも、食事に不安があるのであれば、適切な配合内容のマルチビタミンミネラルを選ぶという選択肢もあります。

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編集後記____________________________________________________________

長い秋雨の上に、急に気温が下がりました。体調を崩さないよう、くれぐれもご自愛ください。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.748
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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