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VOL.399 アンチミューラリアンホルモンを理解する

2011年02月06日

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妊娠しやすいカラダづくり 第399号 2011年02月06日発行

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お子さんを望まれるカップルを応援します。

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。


━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


▼今週の更新情報

▼今月の特集
アンチミューラリアンホルモンを理解する

▼妊カラニュース
ツイッターでも情報を発信しています

▼編集室より


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2011年2月3日 最新ニュース
原因不明不妊の腹腔鏡手術+IVFとIVFのみの累計妊娠率比較 
http://www.akanbou.com/news/news.2011020301.html
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2011年2月3日 トピックス
男性が摂るべきサプリメントは? 
http://www.akanbou.com/topics/topics/038.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


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 今 月 の 特 集
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 アンチミューラリアンホルモンを理解する
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最近、読者の方々からアンチミューラリアンホルモンに関するご質問やご相
談をいただくことが増えました。

このホルモンを測定するクリニックが増えているからだと思います。

アンチミューラリアンホルモン(以下、AMH)は、エストロゲンやプロゲ
ステロン、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)などの生
殖に関わるホルモンに比べれば、聞き慣れないホルモンの名前でしょう。

ところが、このAMH、現代の不妊治療ではとても大切なホルモンなのです。

その理由は以下の通りです。

今や体外受精や顕微授精などの高度生殖医療技術が進歩に伴って、不妊治療
ではさまざまなオプション(選択肢)が増えました。

そのため、自分たちにふさわしい治療法を選択することの必要性や重要性が
ますます高まっています。

そして、治療方針や治療法の選択の際に大切な指標になるのがAMHだから
です。


━ アンチミューラリアンホルモンとは?

そのAMHについて。AMHとは、卵巣内で発育過程にある卵胞から分泌さ
れるホルモンのことです。

血液中のこのホルモンの値が、発育している卵胞の数の多い少ないを反映す
るわけです。

要するに、AMHの値が高ければ、発育卵胞の数が多く、低ければ、発育卵
胞の数が少ないと考えられるのです。

そして、この発育卵胞の数は、卵巣内に残っている原始卵胞の数にリンクし
ます。

つまり、AMHの値は、卵巣にあとどれくらい卵子が残っているのか、すな
わち、卵巣予備能と呼ばれる"卵巣年齢"を知る目安になるというわけです。


━ 精子にはない、卵子だけの宿命とは?

この説明では、分かったようで、分からないという感じかもしれませんので、
その背景を少し補足してみたいと思います。

男性は毎日精子をつくり続けていますが、女性は生まれたときから卵巣内に
すべての卵子がすでにあって、新たにつくることはないと言われています。

女性の卵巣内にある卵子になる元の細胞を原始卵胞といいます。生まれる時
には約200万個くらいあるそうです。

それ以降、成長に伴って、その数はどんどん減っていき、思春期を迎え、生
理が始まる頃には、だいたい、20万個から30万個になります。

そして、いよいよ、生理が始まると、1回の周期に約1000個の原子卵胞
が目覚め、発育を開始します。

ただし、たとえ、目覚めたとしても、排卵の周期にはその中の約20個が選
ばれ、最終的に成熟し、排卵するのは1個(主席卵胞)だけです。

残りはすべて消滅してしまいます。

このように、卵巣内の原始卵胞は年齢とともに、一緒に年をとり、その数は
減り続けるのです。

つまり、男性が年をとっても、新鮮な精子が常につくり続けられているのに
対して、女性が年をとると、卵子の質も低くなり、その量も減ってしまうと
いうわけです。


━ 卵巣年齢とは?

さて、卵巣予備能という言葉も最近よく耳にするようになりました。

卵巣予備能というのは、卵巣にどれくらい卵子が残っているのかの目安のこ
とで、卵巣に残っている卵子の"量"を知る目安なわけです。

そして、卵巣予備能には個人差があります。

前述の出生時200万個、思春期には20~30万個、それ以降、1ヶ月に
1000個ずつ減っていくというのは、そのような信頼できる研究報告があ
るというだけで、あくまでも理論にしか過ぎません。

女性によって閉経年齢が異なるように、卵子の"減り方"にも個人差があり
ます。

遺伝的なものや過去の骨盤内の感染や手術、子宮内膜症、喫煙などの生活習
慣、また、決定的なのは、化学療法や放射線療法などの影響で、卵子の減る
スピードは速くなります。

つまり、年齢の割にはたくさんの卵子が残っている女性もいれば、反対に年
齢の割には早く減っている女性もいるわけで、それぞれに"卵巣年齢"があ
ると言えるのです。

そして、その卵巣年齢を知る最も有効な方法がAMHの測定なのです。


━ 卵巣年齢と妊娠する力の関係とは?

いよいよ、ここからもう一歩話しを進めていきましょう。

卵巣年齢、すなわち、卵巣内にどれくらいの卵子が残っているのかの目安と
妊娠する力との関係はどのようになっているのでしょうか。

卵子の"質"は妊娠するしないに直結しています。

すなわち、卵子の"質"は妊娠する力そのものです。

それに対して、卵子の"量"は間接的です。

すなわち、卵子の"量"が多いほど妊娠するのに有利になります。

卵巣年齢が若いほど、卵巣内に残っている卵子の数が多く、毎周期、発育す
る卵胞の数も多いので、妊娠できるだけの質を備えた卵子が排卵される確率
が高くなるということです。

これが、卵巣年齢が若いほど妊娠の可能性が高いメカニズムです。

ここで知っておかなければならないのは、毎周期選ばれ、最終的に排卵に至
るまで成熟する卵子(主席卵胞)は、質が高いから選ばれるのではなく、あ
くまで、偶然、選ばれるに過ぎないということ。

ですから、確率の問題なわけです。発育卵胞が多いということは分子が大き
くなるので、妊娠に至る確率が高くなるのです。


━ AMHを測定する意味とは?

それでは、AMHを測定する、すなわち、卵巣年齢を知ることにどんな意味
があるのでしょうか?

AMHを測定する目的を整理してみましょう。

2つあります。

まず1つ目は、不妊治療のステップアップのスピードを決定する目安になり
ます。

卵巣年齢は残念ながら逆転させることは出来ません。もしも、年齢の割に卵
巣年齢が高ければ、当然、不妊治療のスピードを上げ、早め、早めにステッ
プアップする必要があります。

不妊治療にかけられる時間的余裕はそれほどないからです。

反対に年の割に卵巣年齢が若ければ、多少、じっくりと治療に取り組めると
いうわけです。

2つ目は、体外受精の際の最適な卵巣刺激法を選択する目安になります。

多くの卵子を採卵するほうが妊娠の確率が高くなるのは、前述の通り、質の
高い卵子に巡り合える可能性が高くなります。

そのためには排卵誘発剤で卵巣を刺激する必要がありますが、単に刺激しさ
えすればいいというものではありません。

それぞれの卵巣年齢に応じた刺激法を採用しなければなりません。

このようにAMHを測定し、自身の卵巣年齢を知ることで、より妊娠の可能
性の高いステップアップのタイミングや治療法を選択することが可能になる
のです。


━ 自分たちにふさわしい、後悔しない治療を受けるために

これまで卵巣年齢を知る目安として、FSH(卵胞刺激ホルモン)などがあ
りましたが、周期内変動や個人差が大きく、卵巣年齢を知る精度はそれほど
高くはありませんでした。

ところが、AMHは周期内変動がなく、卵巣年齢を知るうえで精度が高くな
りました。

特に、高齢で不妊治療をスタートする女性にとっては最も大切な検査になる
ことでしょう。

不妊治療では、どの治療法を選択するのかについて正解はありません。

また、必ずしも妊娠が保障されているわけではありません。

ですから、後々、後悔しないためには、どんな治療法が自分たちにとって最
も効率的に妊娠を目指せるのか、どんな治療法が自分たちの価値観に合って
いるのか、自分たちで決める必要があります。

そんな観点から言えば、AMH値は自分たちにふさわしい治療方針や治療法
を選択するうえで、ドクターと相談される時にとても大切な材料になると思
います。


---【参考ページ】---------------------------------------------------

▼アンチミューラリアンホルモン(AMH)とは
http://ivf-asada.jp/amh/

▼卵子のお話
http://ivf-asada.jp/ranshi/

※名古屋の浅田レディースクリニックのサイト内ページです。

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 妊 カ ラ 編 集 室 か ら
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さい。また、皆さんの声もお聞かせいただければ嬉しいです。

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 編 集 室 よ り
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妊娠や出産にふさわしい身体にするには、バランスよく食べることがとても
大切なのは、皆さん、ご承知の通りと思いますが、たんぱく質をしっかりと
摂ることは、直接、妊娠する力を左右することを最新の研究が教えてくれて
います。

肝臓にはエストロゲン受容体が存在し、その発現にはたんぱく質の摂取に依
存していて、もしも、たんぱく質が不足すると、エストロゲン活性が低下し、
周期が乱れたり、性欲が低下したりすることを動物実験で確かめたというの
です。

研究者は、これは飢饉などで、赤ちゃんの成長に十分な食糧が不足している
時には、赤ちゃんのために、生殖機能を低下させるという、人間の進化の途
中で備わったメカニズムではないかとしています。

健康な食生活を意識するあまり、野菜や穀物中心になって、肉を控えること
でたんぱく質が不足している女性が増えているそうです。

妊娠や出産には、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大
栄養素が必須です。

どの栄養素も偏りなく、食べたいものです。

次号は400号です。節目を記念して読者アンケートを実施して、皆さんの
お声をいただきたいと思います。

どうかご協力をお願いいたします。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.399
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・まぐまぐ:5,196部
・合計部数:5,397部(2月6日現在)
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妊娠しやすいカラダづくり
発行 株式会社パートナーズ
編集 細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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