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VOL.379 治療方針を決めるための3つのよりどころ

2010年09月12日

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 妊娠しやすいカラダづくり 
 VOL.379
 2010年9月12日                  
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じぶんたちにあったこたえをだすために・・・

なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、
悩みを克服するために、"二人で話し合い、考えを整理"して、
"自分たちにふさわしい答えを出す"上でのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。


━[今週の内容]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼今月の特集(2)
治療方針を決めるための3つのよりどころ

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2010年9月9日 最新ニュース
喫煙は精子発生の際の染色体の正常な形成を阻害する
http://www.akanbou.com/dansei-funin/news/cate01/2010090901.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


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 今月の特集(2)
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 治療方針を決めるための3つの拠り所
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前号は「エビデンスにもとづいた妊娠しやすい夫婦生活」について特集しま
した。

多くのメールをいただき、『排卵日が最も妊娠しやすいと誤解していた』、
『排卵日を特定することが難しいため、ストレスになっていたが、正しい情
報を得ることが出来て、とても気が楽になった』等の感想をいただきました。

今週は、「不妊治療方針」について特集します。

先週に引き続き、8月28日~29日の2日間、横浜で開催された「産婦人
科臨床懇話会セミナー不妊治療2010」というドクター向けのセミナーで、
梅ヶ丘産婦人科院長の辰巳賢一先生が講演された内容をベースにお送りした
いと思います。

辰巳先生には、妊娠しやすいカラダづくりのサイトのQ&Aにおいて、医学
的な観点から監修いただいております。

梅ヶ丘産婦人科では、もちろん、最先端の生殖医療も実施されていらっしゃ
いますが、「それぞれの患者さんの必要最低限の治療で妊娠を成立させるこ
と」を基本方針に、一般不妊治療(人工授精までの不妊治療)において、高
い治療成績をあげていらっしゃいます。


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 不妊治療の治療方針について
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不妊治療を受けるとなった場合、もしも、不妊の原因がはっきりしていれば、
治療方針は明解で、原因を治療することになります。

ところが、不妊の原因がはっきりしない場合、あるいは、不妊の原因と考え
られるものを治療しても、なかなか、妊娠に至らない場合、どんな治療を受
けるべきか、すなわち、治療方針を決めるのは簡単なことではありません。

原因がはっきりしないわけですから、妊娠を目指すという目的は同じでも、
アプローチの仕方は、いろいろな方法があるからです。

何もしないという方法もありますし、もっと精度の高い検査を受けてみると
いう方法もあります。また、排卵する卵子の数を増やしたり、卵子と精子を
近づけることで、妊娠の確率を高める方法もあります。


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 治療方針を決めるための3つの拠り所
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それでは、原因がはっきりしない場合、何をよりどころにして、治療方針を
決めればいいのでしょうか?

治療方針のスタンダードである"ステップアップ方式"と"ふたりの考え方"、
そして、"母親になる女性の年齢"の3つです。


(1)女性の年齢方式

必要最小限の治療で妊娠を目指すための治療方針がステップアップ方式です。

▼梅ヶ丘産婦人科におけるステップ別治療回数

・タイミング指導(半年)
    ↓
・自然周期人工授精(約5回)
    ↓
・排卵誘発+人工授精(約3回)
    ↓
・体外受精

▼平成19~20年の2年間に妊娠が成立した1480周期の治療内容

・タイミング指導  44%
・人工授精     21%
・高度生殖補助医療 34%

タイミング指導による妊娠は治療に先だって実施される基本検査の中の子宮
卵管造影検査による卵管の通りをよくする治療効果によるものも大きいと考
えられます。


(2)ふたりの考え方

不妊治療の方針を決定される際に最も優先されるべきは、カップルの考え方
で、どんな治療を、どこまで受けるのかを決めるのは治療を受けるカップル
です。

たとえば、人工授精までは受けたいけれども、体外受精は考えられない、あ
るいは、人工授精も受けたくないなど、それぞれのカップルにとって理想と
する不妊治療は異なるものです。

そのためには、それぞれの考え方や価値観について、よく話し合い、自分た
ちにとって最もふさわしい治療方針を決めるためい、ふたりの考え方をすり
合わせることが大切です。


(3)母親になる女性の年齢別治療方針

妊娠する力に最も影響を及ぼすのは母親になる女性の年齢で、年齢が高くな
ればなるほど、妊娠するまでに時間がかかるようになります。

そのため女性の年齢別の治療方針が必要になります。

▼年齢について知っておきたい事実

◎妊娠したカップルの年齢別妊娠方法の推移について

梅ヶ丘産婦人科における妊娠例では、年齢別の妊娠方法の推移は、年齢が高
くになるにつれて、体外受精でしか妊娠できなかったカップルが増加してい
く傾向がみられます。

そして、35歳から40歳にかけて、その割合の増え方が急になり、40
歳を超えると、増加傾向はみられなくなります。

◎年齢と高度生殖医療の採卵あたりの妊娠率・出産率について

高度生殖医療の妊娠率は、年齢とともに徐々に低下していきます。そして、
37歳からはその低下のスピードが急に早くなります。

◎不妊治療の公式について

不妊治療の周期あたりの妊娠率 = 年齢係数 × 治療法固有の妊娠確率

不妊治療の周期あたりの妊娠率は、年齢係数に治療法固有の妊娠率をかけた
もので算出できます。

年齢係数とは、妊娠できる力のある卵子が排卵する確率で、25歳が1とす
ると、38歳で0.5、そして、46歳でほぼゼロになります。

また、治療法固有の妊娠率は体外受精で40%、人工授精で10%、自然な
性交で5%です。

▼35歳までの不妊治療方針

・妊娠例の75%以上は一般不妊治療による妊娠
・高度生殖補助医療を1年延ばしてい妊娠率の低下は軽度

「一般不妊治療に時間をかけて良い」

ただし、「若い=よい卵子」にもかかわらず、妊娠しないのは、何らかの大
きな不妊原因(卵子と精子が出会えていない)がある可能性もあるので、適
当な時期に高度生殖補助医療に移ることも必要です。

▼36~39歳の不妊治療方針

・妊娠例の高度生殖補助医療による妊娠の割合が急に増加する
・高度生殖医療を1年後に延ばすと、妊娠率がかなり低下する

「早めに高度生殖医療に移行するべき」

ピックアップ障害や受精障害など、検査で把握できない、高度生殖補助医療
でしか妊娠できない不妊原因が存在する場合、体外受精への移行を延ばすこ
とは、取り返しのつかない事態を招かないとも限りません。

▼40歳以上の不妊治療方針

・高齢になると治療法固有の妊娠率よりよい卵子にあたる確率が優先される
・40歳以上だからといって体外受精でしか妊娠できないわけではない

「高度生殖補助医療がとても有効な手段とは言えなくなる」

「すべての周期に治療法にこだわらずに妊娠のトライをする」

たまたま、良い卵子が排卵された周期にチャンスがあるよう、すべての周期
に、タイミング指導や人工授精などの妊娠のトライをすることが大切になっ
てきます。
 
▼男性の年齢について

父親になる男性でも35歳を過ぎると精液所見が低下しますが、妊娠させる
力が明らかに低下するのは50代になってからです。


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 ドクターと患者に求められるものとは?
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いかがでしょうか?

最後に是非とも知っておいてほしいことは、不妊治療方針は、ドクターや施
設によって、ずいぶん異なるということです。

ここにご紹介した方針は、私たちは、ゴールドスタンダード、つまり、現在、
考えられうる最も理想的な治療方針だと思っていますが、異なる考え方をさ
れる方々もいらっしゃるというわけです。

特に、体外受精が普及した、ここ数年で、それが顕著になってきたように思
えてなりません。

具体的に言いますと、原因不明不妊において、早い段階で体外受精にステッ
プアップすることを勧めるドクターや施設が増えてきたということです。

もちろん、早く妊娠できることに越したことはありませんが、もう少し、一
般不妊治療や人工授精で様子をみれば、妊娠できる可能性が十分にある場合
段階でステップアップするということは、不要な高度生殖医療が施されるこ
とになり、不要なコストやリスクを払うことになってしまいます。

ですから、ドクターに求められるのは、高い技術もさることながら、それぞ
れの患者さんにとって、最適なステップアップのタイミングを提案できる力
だと思います。

そして、患者側に求められるのは、自分たちの希望や考え方に近いクリニッ
クを予め選ぶということでしょう。


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 最後に
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決して、単純ではないテーマを、ダイジェスト的に伝えたので、どこまでお
伝えできたのか、少々、不安です。

可能であれば、妊カラのバックナンバーも参考にていただければと思います。

不妊治療は他の病気やけがの治療とは異なり、全治何カ月なんてことが言え
ません。

不妊症と診断されても、すぐに妊娠できることもあれば、予想だにしなかっ
たくらい長引くケースも、決して、珍しいことではありません。

さらに、長く頑張ったからといって、必ず、妊娠できるという保障もありま
せん。

だからこそ、後々、後悔しないことが大切だと思います。

そのために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちにふさわしい答え
を出す上での参考になれば、とても嬉しく思います。

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以下は、辰巳先生が院長をつとめていらっしゃる梅ヶ丘産婦人科のサイトで
す。サイト内では、いろいろな有用な情報が紹介されています。

▼梅ヶ丘産婦人科のサイト
http://www.u-m-e.com/index.html

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記事についての感想やご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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 株式会社パートナーズ運営サイト
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→男性不妊 ~ ふたりで知っておきたいオトコのこと
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 編 集 後 記
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喫煙についての興味深い2つの研究報告が、9月8日にヨーロッパ生殖医学
会誌にオンライン上で掲載されました。

1つは、妊娠初期に、女性がタバコを吸うと、お子さんの卵子や精子をつく
る細胞の数が減ってしまうというもの。

もう1つは、男性がタバコを吸うと、精子がつくられるときに、遺伝情報を
含む染色体の正常な形成が阻害されるというものです。

女性の喫煙は、お子さんの生殖能力を弱め、男性の喫煙は自分の精子の生殖
能力を弱めるというわけですが、このように、そのメカニズムが、実際に、
確認され、具体的に説明されると、説得力が増しますね。

脂肪肝や真っ黒な肺の写真を見せられて、断酒や禁煙を決意する心理に似た
ものがあるように思いました。

なんて言いますか、私たちにとって、一番嫌なのは、"知らぬが仏"状態で
はないでしょうか?

そして、そのことを後で知るようなことがあると、なぜ、あの時に知らせて
くれなかったのか、なぜ、もっと勉強しておかなかったのか、なんてことに
なりかねません。

不妊治療においても、正しい情報を得ておくこと、そして、そのうえで、自
分たちの考えをまとめることがとても大切なことだと思います。


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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.379
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◎発行部数
・自社配信: 209部
・まぐまぐ:5,369部
・合計部数:5,578部(9月12日現在)
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【編 集】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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