曇り時々雨、のち晴れますように

小倉 智子

男性不妊①:男女のズレ

2018年02月10日

みなさま、
こんにちは。

心理士の小倉です。
クローズアップ現代+の影響でたくさんの方にブログを読んでいただけたようで、
何よりです。
一方で、もっと発信しないといけない、という
緊張感もうまれましたので、できる限り
更新してまいりたいと思います。

まずはTVでは全然伝えきれなかったことを
一つずつお伝えしていこうと思います。

TVでありましたようにもし男性不妊が分かった場合の夫婦間のコミュニケーションのずれ、ですが、
これは男性不妊に関わらず、
男女のコミュニケーションにおける特徴です。

つまり、
男性は問題があれば解決しようと提案なり、行動なりしようとしますが、
女性は問題があれば、まずはそれにともなう気持ちの共有をしてもらいたい、
という特徴の違いです。

不妊治療においては
どうしても女性が病院やクリニックに先にいって
そこで得た情報なり、結果なりを先に知ってしまうので、
その気持ちを夫に共有しようとします。

それで、安心感、安堵感を得たいと思いますし、
少なくとも不安の軽減をしたいのですが、
男性はそれを聞いて、その問題を解決すれば女性は安心するのだろうと思って、
だったら、こうすればいい、ああすればいい、と提案します。

これはお互い、自分のベストを尽くしているのでが、
見事にかみあっていない。

恋人同士であれば、
このかみあわない感じが新鮮で、
自分にないものを持っている、
魅力的ドキドキ
となるのですが、
夫婦となり、
夫婦としての危機となると、
同じ方向に向いてほしくなるものです。

だけど、男女で違う問題の取り組み方をしていることに気づかず、
お互いのずれに
うすうす感じながら、
そのままやっていこうとすると、
いつの間にか大きなずれになていることは
よくあります。

さらにここに男性不妊、という要素が入ると
複雑です。

TVでも言いましたように、
男性に明確に原因がある場合、
子供を授かろうとすると、
女性の負担のほうが大きい。
その現実を男性は申し訳なく思ったり、
無力さを感じたり、
いら立ちを覚えたり。

だから一層、女性が愚痴ったり、不満を言うと、解決方法に
力を入れます。

一方、女性は心身共に、覚悟はしていたけれど、
本当に辛い。
でも、この辛さを夫に言うと、
夫を責めているように聞こえるかもしれない、
でも子供は欲しいし、
この治療は苦しい。
つい、夫に今回の注射はなんか、しんどいんだよね、って言った時に
だったら、やめていいんだよ、
と言われた時のなんともいえない腹立たしさ。

夫にしてみれば自分のせいで辛い思いをしてるんだから、
嫌ならやめていいんだよ、という解決策を提案することで、
女性を助けてあげたい。

でも、女性にしてみれば、
辛いけれど、子供が欲しいし、
この治療で子供が授かれば男性の不妊原因も乗り越えられる、
ただ、現実的にこの注射の痛み、気持ち悪さを共感してもらいたいだけ、
というときに、
「やめれば?」
と言われると
カチン、ときてしまうんですよね・・・

ではどうすればいい?

女性は我慢する必要はありません。
ただ、愚痴る、不満を言う前に、あるいは後に、
私がこう言っているのはただ聞いてほしいだけ。
どうにかしてほしいってわけではないの。
聞いてもらって、私がこんな気持ちでいることを知ってもらえれば十分、
と言えると男性も、それでいいんだ、って思います。

男性は提案をしてしまっても、
あくまで提案であって、一緒に決めていくことだから、
と思えればいいですよね。

また、女性は決して提案やアドバイスが欲しいわけではないことを
知っておくといいかもしれません。
今の話を聞くと、解決してほしいようにも聞こえるけど、
僕は何をすれば君は安心できる?
というように聞ける余裕があると
女性もより明確に要求ができると思います。

すぐにこんなコミュニケーションができるわけではないと思いますが、
夫婦の関係はこれからも長く続くものです。

少しずつ、こんなやりとりが、
不妊に関わらず、
できるといいですね。