曇り時々雨、のち晴れますように

小倉 智子

ヤマアラシのジレンマ

2016年02月29日

みなさま、
こんにちは!

関東地方では
風が強かったり、
あたたかったり、
寒くなりそうだったり?

いよいよ季節の変わり目ですチューリップ赤
花粉も飛び始め、
私は花粉症なので、
目薬に飲み薬にお茶にマスクに・・・
いろいろ面倒な季節ですカゼ

さて、今回は先週末にあった
日本生殖心理学会の講演について。

この学会は
生殖心理、
つまり不妊の心理について
一番多くを学べる学会ですが、

今年はいつにもまして著名な方の講義も多く、
本当に勉強になりました!

その中のお一人、
t01500210_0150021013579476691.jpg

この方~
ご存じです?

精神科医の

香山リカ先生、

も講義してくださいました。

いろいろ本当に深い話をしてくださいましたが、
その中でも

ヤマアラシのジレンマ

の話は

そうそうそう~!!!!

とうなずきっぱなしでした。

どういう話かというと

ヤマアラシ、という動物をご存知ですか?
t01930145_0193014513579493940.jpg
↑こんな感じですが、

おしりのほうにある白いつんつんが
威嚇などするときは全部針山のようになる
動物です。

このヤマアラシが
寒いので
他のヤマアラシと
くっついてあたたまろうとするのですが、
くっつきすぎると
お互いの針が刺さって
傷つけあう、
というお話で、


人間もお互いの距離感を
感じ取り、その針の長さが調節できるといいね、
という意味もあるのですが、

今回は
不妊の当事者同士、
というのは最初は
お互い不妊だから、
ということで仲間意識を持つのですが、
だんだんお互いのことが
わかると
その違いも見えてきて、
ひとくくりに
「不妊の人」と
一緒にされることに抵抗があるようだ、

というお話をされました。

せっかくお互いあたたまろうとしたけど、
結果的に傷つけあう、
ということがどうもあるらしい、
というお話。

そうなんですよね。
不妊の話をこれまでの友人には話せない。
やっと話せる不妊友達、
を見つけたけど、
私は子宮筋腫、
友達は男性不妊、
私は自分が原因だから罪悪感を感じる、
でも友人は夫を責めるにも責められない気持ち、
でも私にしてみれば、
精子さえなんとかなれば妊娠できる友人がうらやましい・・・
友人なのに、
なんか、
重たい関係。
同じ不妊だけど同じじゃない・・・

など
よく聞く話ですよね。

不妊で悩んでいる人に、
だったら自分の針の長さを調節したら?

と言うのは簡単ですが、酷すぎます。

なるほど~

と納得する不妊当事者もいるかもしれませんが。

私が思ったのは、

つまりヤマアラシは寒いから
寄り添いたいんだよね?

だったら
そんなにちかよらなくても
そこそこスペースがある
暖かい場所=支援・サポート
を提供すれば、
あるいは作っていけばいいのかな、

と。

これは不妊で悩まれている
方たちだけのことではないと思いますが、

そこそこ元気な人は
自分の針の長さ調節はできますが、
不妊やその他、
人生で大きな出来事がおこって
これまでの
対処方法ではどうにもならない方たちには、
もう針の長さ調節をする元気もありません。

だからお互い寄り添おうとすると
傷つくこともあります。
だけど、適度に
寄り添える場所を
社会全体で作れるようにできれば、

と思う今日この頃です。