曇り時々雨、のち晴れますように

小倉 智子

不妊カウンセリングの実際②

2015年05月21日

こんにちは。
心理士の小倉です。

暑い日が続きますね。
どうぞ体調管理にお気を付け下さい。

さて、今日は
実際のカウンセリングの紹介パート②です。
(クライエント設定は架空のものです)

Bさんは37歳で結婚し、
38歳から治療を開始。
半年間はタイミング→人工授精をおこないましたが、
その後体外受精をおこないました。
3回採卵され、その後胚移植で妊娠・出産。
40歳でした。

現在42歳になるBさんは
二人目を考えています。
二人目のためには採卵から始めることになります。

しかし、42歳での採卵は
以前よりも母子ともにリスクが高くなり、
今いるお子さんのことを考えると迷う、とのことで
カウンセリングにきました。

Bさん(以下:B)
「子どもが一人っこなのはかわいそうだけど、
もし障害のある子どもが生まれたら、と思うと
治療を再開できないんです。」

カウンセラー(以下:カ)
「治療の再開を迷われているのですね?」

B「はい。子ども一人授かっただけでも
十分だとおもっているのですが、
私も夫も一人っこなので
いとこもいませんし、
将来ひとりぼっちになったらかわいそうだな、
と思って。
でも、もし妹か弟に障害があったら
逆にこの子の負担になってしまうのであれば、
治療を始めることもないのですが・・・」

カ「Bさんとしてはお子さんが将来ひとりになることが
気にかかるのですね。
でも兄弟に障害があればお子さんの負担になるのでは、
と思い治療の再開を躊躇しているのですね?」

B「そうです。そもそも治療しても
授かるかどうかもわからないのですが。
それに治療をすると子どもを預けなければいけなくて、
それも大変だろうな、と思うし。
でも、近所の人が本当に何気なく、
次のお子さんは?って言ってくるんですよ。
そのたびに気持ちが重くなってしまって。」

このようにBさんは
周囲の人の発言や二人、三人のお子さんを
お持ちの家族が気になると話しました。

そのうち、
なぜ「Bさんが二人目が欲しいのか」
という話になります。
上記したようにBさんも一人っこで、
一人っこであることは
小さい頃は嫌だったけど、
中学生ごろから友人たちが
兄弟げんかの話を聞いたりして、
一人っこであることを楽しめるようになりました。
また親子関係もよく、
最近になって一人っこだから
不自由なく生活できてきたことを知り
自分の子供もそれでいい、と思っていることがわかりました。

夫も一人子どもがいるだけで
十分、という思いがあるようで、
ではなぜ治療の再開を考えるのか、
という話になります。

B「なんとなく、子どもは二人以上、
みたいな雰囲気があるからかもしれないですね。
クリニックにも二人目を考えているのなら早めに!
みたいなパンフレットもあるし。
治療をしない理由を障害がある子どもが生まれるから、
と正当化させたかったのかもしれません。
一人っこの家族でも幸せだって思えればいいんですよね。」

こんなふうに最後は
語られました。
実際はまだまだ迷うことになると思いますが、
一つの気づきができたようです。