曇り時々雨、のち晴れますように

小倉 智子

同じ不妊だけど・・・

2015年05月06日

皆様、
こんにちは。
心理士の小倉です。

今回は同じ不妊経験者でも
お子さんがいる、いないでは
やはり気持ちの違いがある、というお話です。

不妊は経験者でないと
わからない気持ちがある、
と感じる方は多いでしょう。

多くの人が自分は将来不妊を経験するとは
思っていないので、実際に不妊になったときの
気持ちはなかなか自分ですら受け入れられません。

でももし近くに不妊を経験している人がいれば、
この人なら気持ちを共有できるかも、
と思うでしょう。

Aさんは勇気をだして、クリニックの待合室で
隣に座ったBさんに声をかけ、
お友達になることができました。
これまでの経緯や不妊の理由は
同じではないけれど、
子どもが欲しい気持ちは同じで、
治療の辛さを理解しあえる仲になりました。

ところが、Bさんは治療に成功し、
妊娠しました。
そのことをAさんは嬉しく思う反面、羨ましい気持ちが
止まりません。
Bさんも妊娠が継続するかどうか
不安でいっぱいながらも、Aさんにはその気持ちを
伝えることは控えていました。
その後Bさんは第一子を出産。

無事出産できたことをAさんは
喜ぶ気持ちがありつつも、
未だに妊娠しない自分はBさんの出産を
羨ましいを通り越し、嫉妬を感じます。
「おめでとう」と言いながらも
心は重く、黒い感情でいっぱいです。
涙もでます。

BさんもAさんの気持ちは想像できるので、
あまり連絡はしないものの、
これを機に連絡をやめるのは
不自然と思い、
時折近況を伝えたり、
心からAさんの妊娠・出産も願っていました。

その年のAさんに届いたBさんの年賀状は
赤ちゃんの写真だけが大きくのったものでした。
あんなに二人で赤ちゃんだけの写真は嫌だ、
と話していたのに。
でもBさんとしては
Aさんにだけあえて写真のない年賀状を送るのは
Aさんが気を遣われたことに傷つくのではないかと思い、
皆と同じ年賀状をだしたのでした。

AさんとしてはBさんの出産を
心からお祝いできないながらも
Bさんとの交流は続けたいと思い、
数年後、久しぶりにランチにBさんを誘いました。

Bさんからの返信は
その日は子どもの七五三があるので、
都合がわるく、1週間後なら大丈夫、
というものでした。
Aさんにしてみれば
わざわざ七五三のことを言う必要はないのに、
と感じます。
Bさんにしてみれば七五三、といえばAさんが
自分の都合が悪いことを理解してくれる、
という思いで連絡をしたのでした。

このように同じ不妊を経験していても、
子どもを授かると、治療中とは
異なる視点を持つようになります。

子どもができたら治療中の気持ちを忘れてしまったのか?
と思うこともあるかもしれません。
実際、一時的に忘れることもあるようです。
(育児のおわれたり、子どもがいることに幸せを感じると)
でも、絶対に覚えています。
いつでも思い出すことができる感情です(思い出したいかどうかは別ですが)

治療中はなかなか気持ちを共有できず、
友達になっても、
上記のようなことが起こりうるので、
友達作りには慎重になるかもしれません。

でも、同じであることばかり
求めることも限界があるかと思います。
結局、不妊の経験は一人ひとり違うのですから。

同じであることを求める気持ちは当然ですが
同じでなければいけない、というわけではない、
と思えるようになれば、
少し楽になるかもしれません。