妊活によい生活習慣とは?、多くの方が気になるテーマですが、現時点で「これをすれば必ず効果がある」という決定的な答えは出ていません。
それでも、この10年ほどで積み重ねられた研究を振り返ると、ひとつだけ確かに言えることがあります。
それは、生活習慣も「バランス」が大切だということです。
◎食事のバランス
まず基本になるのは食事です。朝・昼・晩の3食で、主食(ご飯やパン)、主菜(肉・魚・卵・大豆など)、副菜(野菜・きのこ・海藻類)をそろえることが大切です。
そこに果物と乳製品を1日1回加えると、さらに栄養の幅が広がります。
また、同じ食材ばかりに偏らず、タンパク質であれば、肉や魚、卵、大豆製品などをバランスよく取り入れること。旬の野菜や果物を取り入れることも大切です。
さらに、出来るだけ加工度の低い食品を選ぶと、食物繊維やビタミンなどの栄養をしっかりとれます。
そして、「3食きちんと食べる」こと。欠食すると血糖値が乱れやすく、生体リズムに悪影響を及ぼすことがあるからです。
◎体重のバランス
エネルギーの摂り方は「体重」に表れます。
目安はBMIが18.5〜25の範囲。痩せすぎや肥満は妊娠に影響しやすいため、適正体重を維持することが妊娠力を支える基本です。
◎生活リズムのバランス
睡眠もとても大事です。夜はなるべく日付が変わる前に眠り、朝は決まった時間に起きるようにしましょう。睡眠中には体の修復が行われ、ホルモンの分泌も整います。
また、昼は太陽の光を浴び、夜はしっかり暗くして眠ることもポイントです。
光と暗さのメリハリによって、ビタミンDの合成やメラトニンの分泌がうまく働きます。メラトニンは卵子を守る大切なホルモンでもあります。
◎運動と休養のバランス
「動く」と「休む」の切り替えも意識しましょう。
ハードな運動はかえってマイナスになりかねないようです。ストレッチや軽いウォーキングなどで体をほぐすことで、心身ともにリフレッシュしやすくなりますね。
◎呼吸のバランス
呼吸も重要な生活習慣のひとつだと言えます。
深くゆっくりと呼吸することで、交感神経が整い、体も心も落ち着きます。
寝る前や起きたとき、通勤や休憩のときなどに腹式呼吸を取り入れてみるのもよいかもしれません。
こうした生活のバランスは、一見すると地味で特別なことではないかもしれません。
ところが、ハーバード大学の大規模な前向きコホート研究で、健康的な生活習慣の数が多いほど不妊症リスクが低くなるという報告がなされています。
体は空気や水、食べ物など、あらゆる要素が作用し合って機能しています。生殖機能も例外ではなく、全身とつながっています。
だからこそ、生活全体のバランスを整えることこそが妊娠力の土台になるはずです。
毎日少しずつでも、自分に合った生活習慣を見つけ、実践し、続けていくこと、それがいちばんの近道になるのかもしれません。
毎日の積み重ねが未来をつくる、です。