人工甘味料の摂取量が多いほど、食生活が不健康である、という最新の研究報告がアメリカのジョージ・ワシントン大学からなされています。
被験者が16万人以上の大規模研究で、人工甘味料の摂取量を調査し、食生活の質との関係を解析しています。健康的な食生活かどうかは、ACSやHEI-2015と呼ばれる健康的な食事指数を用いて評価しています。
その結果、人工甘味料の摂取量と健康的食事スコアが反比例し、人工甘味料の摂取量が多い人ほど、食事の質が低いことがわかったとのことです。
そもそも、人工甘味料は健康によかれと思って使用されたものです。
砂糖よりも低カロリーで、少量でも甘みが強いため、摂取カロリーが減り、肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防効果が期待されたからです。
ところが、本来は健康志向の高い人のための人工甘味料であるはずが、実際にはそうなっていません。
このようなことが起こるのは「免罪符広告」効果ではないかと考えられています。免罪符というのは、中世のローマ・カトリック教会で、信徒がこれを購入することで、自分の犯した罪の償いを免除される証書のことですが、免罪符広告は機能性食品やサプリメント等で、これを摂取すれば、不健康な行動をとってもよい、あるいは、とらなくてもよいかのように思わせる広告のことを言います。
人工甘味料で言えば「カロリーゼロ」というような広告で、他にも脂肪や糖の吸収を抑え、「なかったことに!」なんていうような宣伝文句です。
この免罪符広告の影響を調査する研究が、東京大学の研究チームによって実施されています。
被験者788名を対象として実施、その結果は、免罪符広告を繰り返し目にすることで、不健康な行動をとり、あるいは、健康的な行動を避けるようになるというものです。
人工甘味料の摂取量が多い人ほど食生活が不健康であるというのは、まさにこの通りで、別の研究では人工甘味料の摂取量が多い人のほうが体重が増加するという報告もなされています。
東大の研究チームは「公共の健康を促進するために、免罪符広告の欺瞞的な内容を改善すべきである」との見解を示しています。
嘘をついているわけではないけれども、実質的には嘘をついているのと同じだというわけです。
健康の維持・向上が目的であるはずですが、かえって、不健康を招いてしまっては、本末転倒です。
最後に自分に言い聞かせる意味も込めて。
免罪符広告的な宣伝手法が溢れていると言っても過言ではない現代社会では、魅力的なキャッチコピーに洗脳されず、自分の健康は自分で守るしかありません。