編集長コラム

細川 忠宏

免疫をケアするための食習慣について考える

2024年06月02日

免疫とは、言ってしまえば、「自分」と「自分でないもの」をみわけて、からだを守るしくみです。

コロナ禍を経験し、免疫に対して関心が高まったように思いますが、妊娠成立に、女性の免疫は極めて重要です。

なぜなら、受精卵は、半分が「自分」で、半分は「自分でないもの」から出来ているので、妊娠成立時に免疫がいつものようにからだを守ろうとすれば、永遠に妊娠できません。

そのため、受精卵が侵入してきた時には、特別な対応が必要になります。具体的には例外的に免疫力を落とすのだそうです。

もしも、いつものように受精卵を「自分でないもの」として排除しようとし、それが妊娠の邪魔をしていることがわかれば、免疫抑制剤を使って、強制的に免疫力を落とす治療を行います。

このように免疫というのは、いつも強いのがよいわけではなく、時と場合に応じて、臨機応変に対応するのが正常な状態だと言えるのかもしれません。

強い弱いではなく、バランスが大事なのですね。

そんな大切な仕組みも、年齢の影響を受け、働きが低下してしまいます。

高齢者に新型コロナウイルスの感染や発症のリスクが高いのは加齢による免疫力の低下が主因でしょうし、加齢によって妊娠率が低下するのも免疫システムの精度の低下が一因なのかもしれません。

そこで、自分で出来る免疫システムの健康を維持するために有効な生活習慣をピックアップしたいと思います。

◎野菜や果物の品数を増やす
野菜や果物を食べる種類や量がワクチン接種後の抗体産生にどのように影響を及ぼすのかを調べたイギリスの研究では、驚くべきことに、1日に5皿以上の野菜や果物を食べたグループは1日に2皿以下のグループに比べて、3ヶ月後には抗体反応が82%も大きかったというのです。

野菜や果物の中でも、特に、ケールやブロッコリーなどのアブラナ科の野菜、また、ベリー類の果物の習慣的な摂取は免疫機能向上に寄与するという研究報告がいくつもなされています。

◎きのこ類を食べる
マッシュルームの免疫作用を確かめたオーストラリアの研究があります。

1週間マッシュルームを食べたグループは抗体濃度が50%上昇していたのに対して、マッシュルームを食べなかったグループは同じレベルだったとのこと。

また、その後も測定を継続したところマッシュルームを食べたグループの抗体レベルは摂取終了から1週間後には低下したことがわかりました。

運動習慣や睡眠は免疫機能の維持や向上に深く関わっていることが知られていますが、食生活のちょっとした心がけも大切なようで、ポイントは習慣化です。

集中的に取り組んでも、その後の継続がなければ、免疫レベルは元に戻ってしまうからです。

毎日の積み重ねが、いざという時に物を言うようです。