編集長コラム

細川 忠宏

光害(ひかりがい)から自分を守る

2023年12月03日

光害(ひかりがい)という環境問題をご存知でしょうか?

夜間の過剰な照明で自然環境や生態系、ヒトの心身の健康に悪影響を及ぼす害のことです。

最近、光害が男女の妊孕能、すなわち、妊娠する力にも及んでいることを示す研究報告が相次いでいます。

それは、主にスマートフォンやタブレット等の電子機器の就寝前の習慣的な使用により、睡眠の質を低下させ、男女の生殖機能にマイナスの影響を及ぼすというものです。

また、光害はメンタルヘルスを直撃するという研究報告も増えています。

イギリスで実施された約87,000人の成人を対象とした大規模な研究で、夜間に大量の人工光にさらされた人はうつ病のリスクが30%増加したのに対して、日中に大量の自然光にさらされた人は、うつ病のリスクが20%低下したとの報告がなされています。

このように「光」はヒトの心身の健康に強い影響を及ぼすようです。

夜間の人工光がなぜヒトの生殖機能に影響を及ぼすのか、そのメカニズムは完全にはあきらかになっていませんが、体内時計や交感神経、ホルモン分泌などを介するのではないかと考えられています。

ただし、間違いなく言えることは、ヒトは朝や昼間は明るいところで活動し、夜は暗いところで休息することで、私たちに備わったさまざまな身体の働きが正常に機能するように出来ているということでしょう。

考えてみると、そもそも、人工照明は私たちの生活に大きなメリットをもたらし、その恩恵は計り知れず、もはや、必要不可欠なものです。

ところが、その一方で、場合によっては、私たちの心身の健康に悪影響を及ぼすこともあるということがわかってきたわけです。

光害の影響についての研究に携わった研究者は、夜はスマホやタブレットを遠ざけることで、妊孕能の回復が期待出来るかもしれないと指摘しています。

要するに人工光は、付き合い方次第で味方にもなり、敵にもなり得るということになります。

夜にスマホやタブレットのスイッチをオフにして、部屋を暗くすることは、難しいことでもなんでもありませんし、お金がかかるわけでもありません。

問題は、私たちは、今や、朝も、昼も、夜もスマホがあるのが当たり前という文化の中で暮らしているということではないでしょうか。

そのため、光害から自分の健康を守るためには、環境を自分でコントロールするしかありません。

要するに、普通に生活していると、知らず知らずに流され、気がつくとスマホを操作している、それがデフォルトになってしまっているので、そのことを自覚することから始める必要があるのではないかということです。

「光」は私たちに大きな影響を及ぼすからこそ、自分自身が生活の主体になり、コントロールすることが大切です。

時代の流れに流されるか、自分が主体になり、コントロールするか、どちらかです。