DoHaD(ドーハッド)という学説をご存知でしょうか?
DoHaDとは、Developmental Origins of Health and Diseaseの略で、「胎児期の子宮内の栄養状態が将来の健康を左右する」という説です。
子どもの将来の健康状態は、生まれる前の母親の子宮内の栄養状態に左右されるというもので、1980年代にイギリスで提唱され、その後、多くの基礎研究や疫学研究で確かめられています。
具体的には、妊娠の2~3ヶ月前から妊娠成立まで、つまり、妊娠前が、極めて重要な時期になります。
この時期に、母親になる女性や父親になる男性が肥満や栄養過剰だったり、あるいは、低栄養や栄養不足だったりすると、出生児は、標準児に比べて、成人してから糖尿病などの生活習慣病などを発症しやすくなります。
お子さんは、健康的に不利な人生をはじめざるを得なくなると言っても過言ではありません。
誤解のないように付け加えておきたいのは、あくまで、リスクが高くなるというわけで、100%、病気がちな人生が運命づけられるというわけではなく、本人が健康的な生活を心がけることで、リスクを低くすることは可能です。
メカニズムとしては、胎児の臓器や組織の元となる器官は、子宮内の栄養環境に最適化して、形成され、そのことが、お子さんの体質に影響を及ぼすと考えられています。
このようなことは、これまでは、知る由もなかったことで、ある意味、現代人の特権と言えると思います。
であればこそ、その特権を活かすべく、この、DoHaD学説が意味するものを考えておくべきだと思います。
まずは、妊活カップルにとって、カラダづくりは、決して、「妊娠する」ためだけではないということ。
妊娠前のカップルの栄養状態は、妊娠しやすさ、すなわち、妊活だけでなく、未だ見ぬお子さんの一生に渡る健康状態にまで影響を及ぼすわけです。
そのため、妊娠前から「子育て」がはじまっているという意識をもつことが大切ではないでしょうか。
また、妊娠前のカラダづくりは、子どもの健康だけでなく、ふたりの健康、そして、家族の幸福な人生を送るためでもあるということです。
つまり、妊娠前の選択は、質の高い人生に繋がっていると。
最後に妊娠前のカップルのカラダづくりに求められるのは、5大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維)が、多過ぎないこと、少な過ぎないこと、すなわち、それらをバランスよく揃えるということに尽きます。
ヒトの身体に備わった仕組みは気が遠くなるようなくらい、複雑で、関与しているものやことは天文学的な数にで存在していると言っても過言ではありません。
ところが、私たちが知っておくべきことは、栄養素をバランスよく整えるという極めて、シンプルな原則です。
そして、それは、日々、朝、昼、晩、バランスよく食べることでしか実現できないことを知っておくべきです。