編集長コラム

細川 忠宏

あきらめた途端に授かったという根拠を分析してみる

2014年05月06日

あきらめた途端に授かったという話は本当によく聞かされます。

具体的には、不妊治療を卒業した、もしくは、休んだ途端というもので、外国でも同じようで、養子縁組みした途端授かるということがよくあると言われているそうです。

もちろん、きちんとした調査に基づいた統計ではありません。あきらめた後でも授からなかった方は、あえて、その事を口にしないものでしょうから、あきためたらどれくらいの確率で授かるものなのか、誰にもわかりませんし、そんなことを追求しても詮無いことでしょう。

でも、日本でも、外国でも、これだけ言われていることですから、それはそれで「なにかある」と考えるのが自然だと思います。

たいていは、やっぱり、「ストレスは悪い」のだと受け止められているようです。

で、「ストレスは悪い」なんてことは、もう、百も承知のことです。ここで、そのことを、また、持ち出されても困ってしまうと言えなくもありません。ストレスを自在にコントロール出来るなら、誰も苦労しませんからね。

「ストレスが悪いんじゃない?」とか、「ちょっと考え過ぎじゃない?」と言われれば、「だったらどうしたらいいの?」となってしまいます。

そこで、「あきらめた途端に授かった」問題を、もう少し掘り下げてみました。

あきらめた途端に授かったのは、世間では、ストレスフルな治療をやめたことで、自分が解放されたからだと受け止められているようですが、さまざまな研究報告にあたってみると、意外にも、全員が全員、不妊治療、そのものがストレスになっているとは限らないのです。

むしろ、信頼できるドクターやスタッフに支えられている感があって、励みになっているというケースも少なくありません。

それよりも、問題なのは、妊娠のためと自分に言い聞かせ、自分に課してきた「妊活」なのではないかと思うわけです。

たとえば、
妊娠するために好きな食べ物やお菓子を遠ざける、
妊娠するために好きなお酒を断つ、
妊娠するためにヨガのポーズを練習する、
妊娠するためにウォーキングなどの運動をする、
妊娠するためにセックスのタイミングに万全を期する、
妊娠するために基礎体温を毎日欠かさずつける、
妊娠するために不妊治療に専念するべく仕事をやめる、
などなど、です。

いずれも、「頑張って」とか「好きなことを我慢して」という枕詞つきです。

もちろん、統計学的に妊娠しやすい食べ方があります。ヨガも運動もよいでしょう。基礎体温からさまざまな体の情報を得ることが出来るでしょう。さらには、仕事が通院の障害になることもあるでしょう。

ところが、これらは、全て、妊娠のための必要条件でも、ましてや、十分条件でもありません。

あくまで、統計として、そのような傾向がみられるということです。

何事も、取り組み方次第で、バランスが大切です。

ですから、我慢したり、頑張ることで、自分を追い込み、それがストレスになってしまうとも限りません。

もしも、そんなふうな状態に陥ってしまっていたら、あきらめた途端、妊活もやめ、自分の好きなものを、好きなだけ食べ、自分の好きな余暇の過ごし方をし、体温計もしまって、時には怠惰に過ごすと、それまで押さえつけられていら、「そもそも身体に備わった力」が目覚め、妊娠に至るということもあるのではないかと思います。

要するに、「あきらめた途端に授かった問題」を教訓的に受け止めるならば、「それまで頑張って取り組んできた『妊活』をやめてみる」、そういうことになります。

頑張ったり、我慢すれば妊娠できるわけもありません。むしろ、その反対なわけですから、今一度、自分のカラダが心地よいと感じること、自分のココロが喜ぶこと、楽しいと感じることに、気兼ねなく、取り組んでみてはいかがでしょうか?

そのほうが、やってきてくれるであろう、赤ちゃんも喜ぶはずです。

頑張らなければ、そして、我慢しなければ、授かることができないなんて、決して、そんなふうに思わないでほしいなと思います。