編集長コラム

細川 忠宏

妊娠してからでは遅すぎる

2008年11月30日

赤ちゃんの出生時の体重が減り続けていて、なんと、戦前の水準さえも下回ってしまったと報道されています。

厚労省の調査では、平均出生体重は昭和55年をピークに減り続け、最新の調査結果で、男児の平均が3040グラム、女児2960グラムと、戦前(昭和15~17年)の平均(3050グラム、2970グラムZ)を、下回ってしまったとのこと。

母親になった女性のダイエット志向による痩せや栄養失調、さらには、喫煙や飲酒、ストレスなどによるものと考えられるとしています。

つまりは、現代女性の心や身体の状態が、健全な妊娠や出産にふさわしい状態ではない、そんな傾向が進んでいるということに他なりません。

調査では父親になった男性の喫煙本数が多いほど、子どもの出生体重が少ない傾向が見られることから、受動喫煙の影響も指摘しており、
決して、母親になった女性の問題だけではありません。

このことは、赤ちゃんにとってはどういうことなのでしょう。

実は、生まれた時に体重が軽いというだけでなく、子どもの未来をも大きく左右する問題なのです。

なぜなら、妊娠前、そして、妊娠中の胎内の栄養環境が悪いと、胎児には、栄養を貯め込みやすい体質に、遺伝的なプログラミングがなされることから、出生時には小さかったにもかかわらず、2歳以降は、反対に、肥満になりやすくなり、糖尿病や心臓病のリスクが高くなることがわかっているからです。

"出来ちゃった"、つまり、予期しなかった妊娠が増えていることも、このような傾向に拍車をかけていることを指摘する専門家もいます。飽食と言われる時代にあって、何とも皮肉なことと言わざるを得ません。

そう考えれば、望んでもすぐには授からないことがきっかけで、パートナーともども、妊娠しやすいカラダづくりに取り組むことは、結果として、未だ見ぬお子さんの健全な発育にも寄与する、そういういうことにもなりえるわけです。

この"授かり方"の違いには、長い目で見ると、何物にも代え難い、とてつもなく大きいものがあります。

授かるまでに人よりも長く時間がかかるということは、一見、辛く悲しいだけの経験のように思ってしまいますが、『決して、それだけではない』、ということではないでしょうか?

『現実をどのように受け入れるか』、ということのように思えてなりません。