編集長コラム

細川 忠宏

複雑な世界の単純な法則

2006年09月17日

サイト版のQ&Aには、毎日、多くのご相談が寄せられますが、"高温期の過ごし方"は、よくあるテーマの1つです。

先生に相談すれば、たいていは、 「普段通りでよいですよ」との返事が返ってくるようです。
ところが、この「普段通り」がくせ者のようで、自分の「普段通り」は、世間で言う「普段通り」なのか、よくよく考えてみると、段々、自信がなくなってきたりして、結局は、一つ一つ、具体的な行動について、例えば、でこぼこ道を自転車で走っても大丈夫?長時間のフライトは?毎日、仲良くしてもいいの?
なんてことになってしまうようです。

実際のところは、どうなんでしょうかね。

サイトの妊娠報告や皆さんからのメール、電話の内容をチェックしてみると、個人差なんかももちろんあるのでしょうけど、大概のことがあったとしても、妊娠する時はするようなんですね。

ですから、"あなたの日常の生活で、制限すべきものなどない"ので、"なにも気にしたり、心配する必要はない"ということになりそうです。

それよりも、"自分で出来る努力は惜しみたくない"そんな気持ちを、何かを制限するよりも、前向きな努力に向けた方がよいのかもしれません。

最新の妊娠報告です。
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2006091601.html

---[妊娠報告から抜粋]---------------------------------------------

妊娠できなかった過去2回の移植では、
いつもガチガチに緊張して固まっていました。
先生から、「力を抜いてね~」と言われる程に。

移植後も、いつもいつもお腹のことを気にして安静にしていましたし、
少しの体調変化にも過剰に反応していました。

でも、今回の移植の際は、看護婦さんと笑いながらおしゃべりしていました。

そして先生から、「今から戻すよ」と言われた瞬間から、
主人のことをずっと考えていました。
結婚式のこと、旅行したこと、楽しかった思い出などなど。

移植前の消毒も、子宮をつまむ瞬間も、
痛くていつもはかなりネガティブな気持ちで処置を受けていたのですが、
今回は安らかな気持ちでリラックスしながら受けることができました。

移植後は、とにかく好きなことをして過ごしました。
友達とご飯を食べに行ったり、映画を見に行ったり。
自転車にも乗りましたし、
朝、遅刻しそうになって駅まで思いっきり走ったこともあります。
今回は、判定日までお腹のことを気にすることはほとんどありませんでした。

---[抜粋ここまで]-------------------------------------------------

そうです、前向きな努力というのは、例えば、高度な治療を受けているのであれば、移植の際に、気持ちが弾むようなことを、しっかり、イメージするのです。
自然妊娠を目指していても、たいだい、そのあたりのタイミングで、そうするのです。

もちろん、偶然だったのかもしれません。

ところが、世界で最も体外受精が盛んなイスラエルから、とても興味深い研究報告がなされているのです。
http://www.akanbou.com/news/news.2006062302.html

それによると、体外受精を受けている約200人の女性を、2つのグループに分けて、一方のグループには、移植する際に、先生がコメディーを演じて、 患者を笑わせてリラックスさせたというのです。

そして、もう一方のグループには、普通に移植だけしたところ、先生のコメディーで笑わせてもらったグループの妊娠率が、何もしてもらわなかったグループの2倍だったというのです。

まあ、イスラエルには、変わった医者がいるようですが、移植の際に、楽しい気分で、リラックスすることが、相当、妊娠によい影響を及ぼすことは間違いないようです。

治療を受けている人も、治療を受けていない人も、とにかく、高温期は、ウキウキ、ワクワク、楽しく過ごせばいいんです。

いかがですか?

皆さん、よくよく、ご存知の通り、妊娠に至るのは、生理学的にみれば、大変、"複雑な"プロセスを経るものです。

ところが、そのシステムを支配しているのは、なんと、"単純な"法則なのでしょう!