編集長コラム

細川 忠宏

病院選び

2004年11月21日

岡山県の不妊専門の相談センター、 「不妊、不育とこころの相談室」が、開設から半年間の相談内容の傾向を公表しています。

そして、その傾向は、やっぱりというべきか、私たちのところにお寄せ頂くご相談の傾向とほぼ一致しています。

それは、どこの病院やクリニックが自分に合っているのか、また、現在進行中の治療をステップアップするべきかどうか、この2つの相談、病院情報とステップアップのタイミングに関する相談が、半分くらいを占めているということです。

このようなご相談が大半を占めるということは、ズバリ!、信頼できる病院やクリニック、医師に出会えていないように思う、ということが大きいのではないかと思います。
いざ、病院や医者を探す段になって、真剣に探せば探すほど、切羽詰まった状態であればあるほど、途方に暮れてしまうのは、なにも、不妊治療に限ったことではないかも知れません。

余りにも、頼れる情報が乏しいからです。

因に、アメリカでは、政府機関が、法律に基づいて、個々のクリニックの体外受精や顕微授精等の治療成績を公表しています。

さらに、臨床検査関係の学会によって、クリニックの施設の外部監査も実施されていて、患者側に立った信頼性の高い情報の開示に努めています。

ひるがえって、日本ではどうでしょう。

治療成績の情報開示についてはアメリカに比べればお寒い限りと言えます。
今年の7月3日発行の52号で特集したように、治療成績については統一的な基準がなく、各クリニックの自己申告であるため、自分のところの成績が良くみえるような基準でもって、算出するところも多いからです。

さらに、口コミ情報は最も大切な情報源なのですが、そもそも、不妊であることや不妊治療を受けていること自体、人に言わない、言えないものですから、なかなか広まらない宿命がついて回ります。

ただし、だからと言って、 アメリカのように治療成績の情報開示が整いさえすれば、自分にあった信頼のおける病院や医師をみつけることが出来るかと言えば、それだけではないような気がします。
なぜなら、医療行為や医師の技量、さらには人間性を、全て数値におきかえることは不可能だからです。

やはり、個人の情報収集力や行動力、判断力が、最終的には物を言うのではないかと思います。

今迄、自分が成功したと思えるような出会いや買い物を振り返ってみると、それ相応の想いや嗅覚を働かせていたのではないかと思います。