編集長コラム

細川 忠宏

見抜く眼

2004年07月17日

「にがり」が大変なブームです。

にがりは、もともと豆腐を作るときの凝固剤で、単に体重を落とすことは、健康体でいるための一つの手段であって、決して目的にはなり得ません。主な成分は塩化マグネシウムです。

なぜ、くみ上げた海水を熱して煮詰めたものが、これだけもてはやされるのか、理解に苦しむところでしたが、案の定というべきでしょうか、7月 14日の水曜日に国立健康・栄養研究所から、にがりのダイエット効果には根拠がなく、とりすぎに注意するよう呼び掛けをはじめたようです。

実は、にがり人気がそのダイエット効果ゆえのこととは、このニュースを見て初めて知りました。

だいたい、にがりをたくさん飲めば下痢します。
下痢をすれば、多少は体重が減りますが、これをダイエット効果とするにはかなり無理があるというか、少なくともカラダに良いダイエット方法ではないことは、 間違いありませんし、長続きするとは到底思えません。

根拠のない宣伝に踊らされてしまうのは、それだけ、ダイエット願望が切実だということでしょうか。
いや、"楽して手軽に痩せられる方法"に、 関心が高いというべきでしょうか。

それにしても、にがりに限らず、ブームに煽られて、 根拠のないダイエット効果に期待して、投じたお金の総額はいかほどなのでしょうか?

ブームを煽って、 次から次へと手を変え品を変え、"根拠"のない商品が溢れている世の中です。

所詮、そのことを非難しても詮無いこと。
これに翻弄されることなく生きるためには、自分に必要なもの、相応しいものが、 なんなのか、そしてそれはどれなのか、 見抜く眼を持つことしかありません。