編集長コラム

細川 忠宏

女性の身体に在る力

2004年07月10日

未だ梅雨も明けていないのに大変な暑さです。
それでも、エアコンで室内環境が完璧にコトロールされた部屋にいると、猛暑なんて言われてもなんか"他人事"です。
窓の外に見える"暑い街並"は、まるでモニターで見るバーチャル(仮想)な世界なようです。

でも、よくよく考えると、 外が"現実"であって、部屋の中が"不自然"な世界ですよね。

人間のカラダは、本来、カラダの外側の環境に順応するために、絶妙で完璧なシステムを持っていると言います。
だからこそ、暑い夏でも寒い冬でも、体温が変動せずに、 平均体温を36.5℃に保って生きていられる訳です。

ところが、ちょっと暑ければ冷房を 寒ければ暖房をつける、そんな、ありがたく快適なのだけれども"不自然"な生活を続けるうちに、私たちのカラダが本来持っていた 「外側の環境にカラダの内側を順応させる」という自然の素晴らしいシステムがマヒしてしまっているのだそうです。

現代に生きる人達が失ったものはそれだけではないようです。
「昔の女性はできていた~忘れられている女性の身体に"在る"力」 という本があります。
三砂ちずるさんという津田塾大学の教授で疫学研究の先生が、書かれたものですが、その内容は衝撃的です。

たとえば、今、90歳以上の女性は、月経血を意識的に止めたり出したり、コントロールすることが出来ていたと言います。
昔は、現代のような生理用品がなかったために、月経時には紙や綿を小さく丸めて、膣の入り口に詰めていたそうです。血を吸収するためではなく、単に漏れないための"栓"として、です。

そして、月経血が染みてくると、 栓がはずれそうになるので、トイレにかけこんでお腹に力を入れて血を出したというのです。ようするにお小水のように、 月経血をコントロールできていた、というのです。

私は、男性ですので、 実感としては全く分からないのですが(^_^;)、排卵の瞬間や受精卵の着床の瞬間を、感じることが出来る女性も多かったと言います。

要するに、今よりも自分のカラダの状態や変化に敏感であったということでしょうか。
そして、著者は、今からでも遅くない、できるかも知れないと知るだけで、月経血をある程度コントロールできるようになる人がいる、と述べておられます。

ポイントは、内臓全体をリラックスさせた状態で、尿道や肛門周辺にある骨盤底筋群を動かせるようになることだそうです。これが出来るようになると、今まで気がつかなかったような、ちょっとした体調の変化もわかるようになるそうです。

人間のカラダのいろいろな機能というのは、使わなければ、徐々に退化していき、逆に毎日、頻繁に使っていると驚くようなレベルに到達することは、日常生活の中では、しょっちゅう経験することです。

いずれにしても、"女性の身体に在る力"を取り戻すことは、決して、今からでも遅くない、そうです。