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VOL.750 主食は制限するのではなく全粒穀物に置き換える

2017年10月29日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.750 2017/10/29
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・今月のトピックス:主食は制限するのではなく全粒穀物に置き換える
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2017年10月28日 最新ニュース
地中海食は妊娠糖尿病の発症リスクを下げる
http://www.akanbou.com/news/news.2017102801.html
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2017年10月25日 曇り時々雨、のち晴れますように
たとえ
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20171025.html
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2017年10月24日 最新ニュース
睡眠時間と精子の質の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2017102401.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


今月のトピックス Oct.2017___________________________________________
 
 主食は制限するのではなく全粒穀物に置き換える
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妊娠初期に食事を地中海食にすると、妊娠糖尿病にかかりにくくなるというスペインで行われた無作為比較対照試験の結果(1)が報告されています。
http://www.akanbou.com/news/news.2017102801.html

妊娠前は健康だった女性が妊娠の影響で血糖値が上がりやすくなり、糖代謝異常を招くわけですが、さまざまな合併症のリスクが高くなり、将来的に糖尿病になる可能性が高まることが知られています。

日本糖尿病・妊娠学会のサイトには、妊娠糖尿病の頻度は2.92%だったのが、2010年7月の診断基準変更後の頻度は12.08%と4.1倍に増えたとの記載があり、糖尿病と同様、妊娠糖尿病も急増しているとのこと。

特に、35歳以上になると発症しやすくなるとされていることからも、当然、予防できることに越したことはありませんが、その方法として地中海食がよいかもしれないというのです。

■地中海食とは?

地中海食とは地中海沿岸地域の伝統的な食べ方でその特徴は以下の通りです。

・野菜、果物の摂取量が多い。
・全粒粉を使っている。
・脂質はオリーブオイルが中心。
・ナッツ類、ベリー類、豆類、イモ類の摂取量が多い。
・魚、鶏、乳製品を少量から中量、赤身肉の摂取は少ない。
・卵は週4回以下。
・少量から中量のワインを食事と一緒に飲む。

地中海食と言えば、オリーブオイルやワインを連想されるかもしれませんが、ポイントは新鮮な野菜と果物を大量に食べ、全粒穀物やナッツや豆類、魚中心で、肉はほんのたまにしか食べないという食べ方です。

また、新鮮な食材を調理し、精製食品や加工食品、調理済食品、ファーストフードの類は食べません。

この地中海食の健康効果、たとえば、糖尿病をはじめとしたあらゆる生活習慣病にかかりにくくなるだけでなく、認知症予防にもなる等、膨大な数の研究が実際されていて、とにかく、健康食の代表選手です。

■地中海食と和食は親戚関係にある

実は、地中海食は和食と親戚関係にあると言ってもよいくらい似た食べ方であるとも言われています。

ただし、和食と言っても「昔ながらの」というただし書きが必要かもしれません。こう書くと、昔ながらの和食にはオリーブオイルやワインなんてないじゃないかと思われるかもしれません。

ところが、オリーブオイルはオレイン酸という一価不飽和脂肪酸が主成分で、和食の菜種油にあたり、そもそも、地中海食の本質はオリーブオイルやワインなどの食材ではなく、「食べ方」にあります。

そして、和食を地中海食に近づけるための食べ方のポイントは以下の2つです。

1つは野菜や果物を2倍から3倍程度食べること。もう1つは主食を全粒穀物に替える、すなわち、白米を玄米にすることです。

特に、全粒穀物を食べることがカギになります。

■主食は減らしたり、制限するよりも、全粒穀物に置き換える

最近、糖質制限食がダイエットに有効な食べ方として流行していますが、糖質を制限することで体重が一時的に落ちますが、長期的な健康を考えると、決して、有利な食べ方とは言えません。

なぜなら、私たちは栄養素のみを食べているわけではなく、食品を食べているからです。

要するに、糖質を制限すると、穀物中で糖質と一緒になっている微量栄養素や食物繊維、ポリフェノール、その他、穀物に特有の栄養成分も制限してしまうことになるということです。

糖質を含む食材を敬遠することで、有用な栄養素を摂取する機会を失ってしまい、全体の栄養バランスが悪化してしまうリスクが伴うというわけです。

そのため、主食は単に減らせばよい、制限すればよいということではなく、大切なことは、精製穀物を未精製や精製度の低い穀物に置き換えることです。

もしも、糖質を制限したばかりに、微量栄養素や食物繊維の摂取量が減ってしまうと、妊娠や出産に不利になってしまいます。

■全粒穀物と体外受精治療成績との関係は?

全粒穀物をよく食べている女性ほど体外受精の成功率が高いというハーバード大学の研究報告があります(2)。

体外受精や顕微授精に臨む273名の女性患者(18-46歳)の全粒穀物の摂取量と427治療周期の成績との関係を解析しています。

1日あたりの全粒穀物の摂取量で4つのグループにわけたところ、全粒穀物の摂取量が最も少なかったグループの着床率が51%だったのに比べて最も多かったグループでは70%、同様に、出産率では、それぞれ、35%、53%だったというのです。

また、全粒穀物の摂取量が多いほど胚移植時の子宮内膜厚が厚かったとのこと。

さらに、ふすま(糠)の摂取量は着床率や妊娠率、出産率と強く関連し、ふすまの摂取量が多いほど着床率や妊娠率、出産率が有意に高かったといいます。

■全粒穀物に含まれる多彩な栄養成分の働き

全粒穀物とは穀物の表皮(ふすまや糠)や胚芽などを除去(精製)していない穀物のことで、具体的には、玄米や全粒粉パン、全粒粉パスタなどです。

ハーバードの研究チームは全粒穀物の1日あたりの摂取量が子宮内膜の厚さに関連した一方で、成熟卵数や受精率、胚質などには関連しなかったことから、全粒穀物をよく食べる女性が治療成績が良好だったのは、母体側の子宮内膜の着床環境がよくなったからではないかと考えているようです。

その背景として以下の3つが考えられるとのこと。

まずは、全粒穀物にはビタミンやミネラル、フェノール酸、リグナン、その他の植物性エストロゲンなどの抗酸化物質を多く含み、それらの相乗作用が活性酸素の発生の抑制に働いたこと。

そして、全粒穀物の表皮には植物性エストロゲンとして知られるリグナンが豊富で、そのエストロゲン様作用が子宮内膜の形成をサポートするような作用があるのではないかということ。

最後に、全粒穀物には食物繊維が豊富に含まれるため消化吸収をゆっくりにし、その結果、食後の血糖値がゆっくりと上昇し、時間をかけて下降することになり、血糖値やインスリンレベルが安定していたことです。

■全粒穀物でアンチエイジング

昨年、全粒穀物をよく食べる人は長生きするという研究結果が発表され、話題になりました。

ハーバード大学の研究で、全粒穀物の摂取量が多いほど、特に心血管疾患による死亡率が低くなることを明らかにしたものです(3)。

これまで世界各国で行われた12の研究と、アメリカの国民健康栄養調査のデータを統合、解析し、全粒穀物と長寿との関連性を調べていますが、アメリカや英国、北欧諸国の男女合計80万人の被験者を対象とし、研究期間は1971~2010年にわたるという大規模なデータです。

その結果、この期間中に約9万8000件の死亡が記録されていましたが、全粒穀物を1日に3皿(合計48g)食べる人は、3皿未満しか食べない人や全く食べない人に比べて、心疾患や脳卒中で早期死亡するリスクが約25%も低く、がんによる早期死亡リスクも、約15%低かったというのです。

このことからも地中海食の健康効果の1つに、主食として全粒穀物を食べるということがあるのは間違いありません。

もしも、健康なお子さんの妊娠を目指すことを機に全粒穀物を食べる習慣を身につけることで、妊娠、出産に有利になるだけでなく、長期に渡る健康効果も得ることはできる可能性があるというわけです。


文献
1)PLOS one October 19, 2017.
2)Fertil Steril 2016; 105: 1503-1510
3)Circulation. 2016; 133: 2370-2380

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編集後記____________________________________________________________

地中海食は、「昔ながら」の和食に近いと書きましたが、そもそも、地中海沿岸地域でも地中海食は、「昔ながら」の食べ方になりつつあるようで、それだけ、加工食品や調理済食品が増えているということなのかもしれません。

そういう意味では「昔ながら」というよりも、食材を「自然に近い」状態で食べると言ったほうがよいのもしれません。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.750
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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