編集長コラム

細川 忠宏

二人にとっての"最適解"や"納得解"を、 二人で考えるということ

2009年03月08日

お子さんを授かるために、"これさえやっておけば"なんていう、絶対的な答えは悲しいかな、存在しません。

そして、不妊の悩みと一言で言っても、その内容や深さは、それぞれの夫婦によって異なるものです。であれば、それぞれの夫婦が、ふたりで話しあい、考えながら、それぞれにあった答えを導くしかないということになります。

もちろん、それは、言うほどに簡単なものではないでしょう。

でも、二人にとって、大切なことであればあるほど、そして、デリケートな問題であればあるほど、はじめから、"運"や"他人"にまかせてしまうなんて、したくありません。

私たちの手でコントロールできない相手であればこそ、既にある"正解"を探すというよりも、自分たちにとっての"最適解"や"納得解"を、二人で導くことが大切であり、それこそが、後悔しない選択であると思うからです。

たとえ、悩みを同じくしていても、最適な方法やペースは異なるものです。

たとえ、医学的に完璧にデザインされた試験であっても、相矛盾する結論が導かれることは珍しいことではありませんし、ましてや、エビデンスといわれるデータは傾向を示してくれても、決して、個別の正解を与えてくれるものではありません。

誤解しないでいただきたいのは、他人の経験や研究論文は無駄であると言っているわけではありません。

そうではなくて、それらは、二人の最適解や納得解を導くうえで、ヒントや参考、励みになりはしても、それがそのまま、二人の答えになるとは限らないと言いたいのです。

自分たちで、自分たちの答えを導くのに、これまでの経験から私たちが学んだポイントを整理してみます。

まずは、本質的な理屈が大切だということです。

新しい生命の誕生のメカニズムを理解するように努めることで、妊娠の可能性を最大にするために、自分たちは、どう行動すべきかを考えるうえでのヒントになるのでは、ということです。

選択眼を身につけるには本質的な理屈の理解が必要です。

そういう意味では、情報は量よりも質であり、情報は集めることよりも、利用することが大切だと言えると思います。

情報の利用という観点から、もう一つ。

その都度、二人で、徹底して、問題や課題を整理することです。

悩んでいると問題を複雑にしてしまいがちです。

ましてや現在は選択肢が豊富な時代です。

答えを導く当事者があいまいな状態からは、最適解、納得解を導くのは、なかなかに困難なことです。

まずは、その都度、徹底的に整理して、すべての選択肢を出してみて、その内容や違いについての理解を深めるように努め、そして、自分たちの価値観やセンスをおぼろげながらもつかむことです。

いかがでしょうか?

どのような答えを導いたとしても、"自分たちが、ふたりで、決めた"という事実は、その先、どんな状況になろうとも、自分たちの支えになるはずです。

先が見えないなら、見えないなりに、取り組めることは、必ず、あると信じます。

私たちも、「ふたりにあったこたえをだす」ためのお役に立てるような、そんな情報の発信を心がけていきたいと思っています。