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妊娠しやすいカラダづくり No.1171 2025/12/7
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今週の内容__________________________________________________________
・トピックス:葉酸サプリメントはいつまで続けるのがよいのか
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記
編集長コラム Dec. 2025_____________________________________________
葉酸サプリメントはいつまで続けるのがよいのか
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葉酸は妊娠、出産に際して重要な役割を担うビタミンです。厚生労働省は「妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで」の葉酸サプリメント摂取を推奨しています。
これは、妊娠初期に起こる赤ちゃんの「神経管」の形成がこの時期にほぼ完了し、葉酸によって無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害のリスクを低減できることが明らかになっているためです。
ただ、最近は葉酸サプリメントは妊娠初期以降も継続したほうがよいという考えが広がりつつあります。
葉酸は神経管の形成だけでなく、妊娠中の体と赤ちゃんの発育のいくつもの面で重要な働きをしていることが、複数の研究から明らかになっているためです。
葉酸はDNAの合成を促進し、細胞の生産や再生を助けます。そのため、妊娠すると細胞分裂のスピードは急激に高まり、胎盤の形成も進むため、葉酸の必要量は平時より大きく増えます。
妊娠初期だけではなく、中期、後期のどの時期にも葉酸が不足しないようにしておくことが、母子の健康のために非常に大切であることは当然のことです。
実際、妊娠中の葉酸サプリメント継続にはさまざまなメリットが報告されています。
例えば、妊娠中に葉酸を摂り続けた母親の子どもは、自閉スペクトラム症(ASD)やADHDのリスクが低いという研究結果があります。
また、妊娠中期以降も摂取を続けた母親の子のほうが、3歳時点の認知スコアや、7歳時点の語彙推論スコアが高かったという追跡研究もあり、葉酸が胎児の脳・神経の発達に関わる栄養素であることと矛盾しません。
また、日本の大規模出生コホート研究(エコチル調査)では、妊娠中に葉酸サプリメントを摂っていた母親の子どものほうが、乳児期の川崎病の発症率が低かったという興味深い研究報告もなされています。
母体側にもメリットがあります。妊娠中に葉酸を十分に摂っていた女性ほど、周産期うつ症状が少ないというメタ解析があり、さらに、妊娠高血圧腎症や胎盤早期剥離のリスク低減など、妊娠合併症との関連も報告されています。
こうした研究から、葉酸が「妊娠初期のための栄養素」であるだけでなく、「妊娠全期間を支える基礎栄養素」であることがわかってきています。
厚生労働省の「食事摂取基準(2025年)」でも、妊娠中の付加量として通常より240μg多く摂ることが推奨されており、食事だけで不足しがちな分を補うために、サプリメントの活用が現実的な方法とされています。
葉酸はいつから、いつまで続ければよいのでしょうか。出来れば、妊娠を考えたらすぐに始め、妊娠中も継続することが理想的です。
妊娠初期は神経管の形成に、妊娠中期は胎盤の発達に、そして妊娠後期は赤ちゃんの脳や神経機能の発達に、それぞれ葉酸が関わっています。
つまり、どの時期も葉酸が必要とされる大事なタイミングなのです。
葉酸は、未来の赤ちゃんと自分自身の健康を支えてくれる、妊娠前後の基礎栄養素です。
妊娠準備を始めたら、ぜひ早めに、そして妊娠期間を通じて続けていきましょう。
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お知らせ__________________________________________________________
東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第34回不妊相談会が2026年1月25日の日曜日に開催されます。
院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。
当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。
神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。
また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。
さらに、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。
これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。
個別相談も可能だそうです。
※先着26名まで。
◎第34回不妊相談会
日程:2021年1月25日(日)
時間:13:30~15:00
場所:調布市文化会館 たづくり 11階 1103 学習室
定員:26名
費用:無料
参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105
・詳細はこちら
https://xs132599.xsrv.jp/setumeikai.html
・ウイメンズクリニック神野サイト
https://xs132599.xsrv.jp/index.html
編集後記____________________________________________________________
葉酸サプリメントを二分脊椎等の神経管閉鎖障害の発症リスクの低減のためには妊娠3ヶ月迄で十分ですが、その後も継続することのメリットは小さくありません。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.1171
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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