不妊治療専門クリニックにおける栄養カウンセリング

3栄養相談の根底にある不安や心配に寄り添う

パートナーズ
複数回受けられるというのはどのような事情からなのでしょうか?
花田
たとえば、インスリン抵抗性があって、お薬を飲んで、初回の栄養カウンセリングでアドバイスしたことをやってみたけれども、再検査で数値が改善されなかったというようなケースがあります。
パートナーズ
うまくいかなかったので、どうすればよいかという相談ですね。
花田
そうです。また、複数回来られるケースとして多いのは、食事や栄養面の悩みの解決ということももちろんですが、とにかく、不安な気持ちを受け止めて欲しいということで、どちらかと言えば、心理的なサポートを求めてこられる患者様もいらっしゃいます。
パートナーズ
栄養カウンセリングが、こころのケアにもなると。
花田
はい。そのようなケースでは回数が増えることになります。
パートナーズ
治療期間が長引くにしたがい、不安や心配が大きくなり、栄養カウンセリングが心理カウンセリング的になることが多いということでしょうか。
花田
そうですね。治療期間もそうですが、治療段階が進むにつれ、不安や心配の中身が変わるので、患者様が栄養カウンセリングに求めるものも変わってくると言えると思います。
パートナーズ
なるほど。初診後すぐに相談に来られる場合、検査結果がわかって相談に来られる場合、そして、体外受精や顕微授精の各治療段階での結果が思わしくなく、次の治療に向けて相談に来られる場合など、相談に来られる動機も違ってくるのですね。
花田
はい。治療の各段階でよい結果が得られないと、自分自身の食生活に対する不安感が増し、自分で簡単に取り組めることとして食に関心が向くのではないでしょうか。
パートナーズ
なんとかしたいという、強い気持ちのあらわれで、栄養カウンセリングに相談にこられるということですね。
花田
そうです。中でも、食事や栄養的な改善は、これまでにやり尽くしているけれども、さらなる改善を求めて相談に来られるケースが多く、どのようなアドバイスをするべきか私も悩むところです。
パートナーズ
何か問題があるわけではないのにもかかわらず、単に治療の結果が伴わないという理由で、出来ることはやっておきたいという、本当に切実なお気持ちなのですね。
花田
その根底にある、次の治療はうまくいくのだろうかという心配、また同じ結果になるのではという不安を出来る限り受け止めて、寄り添うようにつとめています。
パートナーズ
はい。
花田
食事の改善と並行してサプリメントに意識が向かれる方も多いです。いろいろな種類のサプリメントを飲まれている患者様では、サプリメントの現物を全部もってこられて、これでよいのかどうか、さらに摂取したほうがよいサプリメントはないかというご相談も少なくありません。
パートナーズ
よくわかります。
花田
サプリメントの宣伝では、魅力的なキャッチフレーズや体験談など、よいことばかりアピールされているので、「あれもこれも」となってしまいがちかもしれません。実際、その患者様にとっては不要な成分だったり、複数のサプリメントを摂ることで成分が重複したり、エビデンスが乏しいのに高価なサプリメントだったりすることがよくあります。         
パートナーズ
これを飲めば、卵子の質がよくなり、妊娠できるかのような、大袈裟で、不適切な宣伝が多いですからね。
花田
はい。そんな場合は、それぞれの患者様に必要な成分をご説明し、サプリメントの種類や数を減らしたり別のものに替えたりするなど、具体的なアドバイスをしています。
パートナーズ
思わせぶりな宣伝もありますが、やはり、なにかプラスになることは可能な限り取り組みたいというお気持ちが強い患者様にとって、必要なサプリメントと不要なサプリメントを、冷静に見極めるのは、簡単ではないと思います。そのため、あれもこれも自分も飲んだほうがいいと思ってしまうのかもしれません。     
花田
そうですね。それはサプリメントだけではないかもしれません。
パートナーズ
サプリメントだけではないとおっしゃいますと?