不妊治療専門クリニックにおける栄養カウンセリング

1栄養カウンセリングをはじめた経緯

パートナーズ
春木レディースクリニックで栄養カウンセリングをはじめられたのはどのような経緯からだったのでしょうか?
花田
患者様は食事や生活習慣など、「自分で出来ること」についての関心が高く、診療現場では、日頃から食事や栄養についての質問や相談が多くなされます。開院当初は、医師や看護師が対応していましたが、患者様が増えていくに従い、次第に診療時間内に対応することが難しくなってきたことがあります。
パートナーズ
はい。
花田
また、肥満や痩せ、検査(HOMA―R)でインスリン抵抗性(※)が認められたというような、栄養的なアプローチによる改善が必要な患者様が増え、専門的な対応が必要とされるようになってきたということもあり、2014年7月から管理栄養士による栄養カウンセリングがスタートしました。
※インスリン抵抗性とはインスリンが効きにくくなった状態のことで、血糖値を正常範囲に戻すために過剰なインスリンを必要とする状態でもあります。
パートナーズ
栄養に関しての専門的な対応が求められるようになったということですね。ただ、実際のところ、不妊治療専門クリニックでは、スペシャリストが個別に対応するところまではやっていらっしゃらないところが多いように思います。
花田
そうかもしれません。当院では春木院長の「100人の患者様がいれば100通りの治療がある」というポリシーのもと、患者様との「対話」をなによりも重視しながら、「結果」につなげていくという治療方針を掲げています。そのため、栄養や食事についても、患者様の悩みや疑問について、個々に対応できるように栄養カウンセリングを実施しています。
パートナーズ
春木先生の治療方針では、栄養や食事においても個別対応が重要だと。
花田
そうです。たとえば、肥満は妊娠や出産によくないと考え、ご自身で調べて自己流のダイエットをされている患者様がいらっしゃいます。たいていはテレビやインターネットで話題になっているダイエット法ですが、それは必ずしも栄養学的なエビデンスに基づいた方法であるとは限りません。また、その方の体質やライフスタイルに合っておらず、ストレスになってしまっている場合もあります。そのような間違った方法ではなく、個々の患者様にふさわしい方法で取り組んでこそ、治療にプラスになります。
パートナーズ
間違ったダイエットは危険でさえありますね。
花田
はい。また、インスリン抵抗性がある場合、メトフォルミン(糖尿病治療薬)が処方されることがありますが、服薬に加えて、血糖値が上がりにくい食べ方を理解し、取り入れることで、妊娠のためだけでなく、妊娠後の妊娠糖尿病の対策にもスムーズに取り組めるようになります。
パートナーズ
一時的な改善だけでなく、妊娠や出産にふさわしい健康のためでもあるということですね。
花田
そうです。また、栄養的な問題があり、食事や生活習慣の改善が望ましい状況であるにもかかわらず、そのことに気づいていない患者様もいらっしゃいます。そのようなケースでは、医師から栄養カウンセリングが勧められることもあります。
パートナーズ
春木レディースクリニックで個別の栄養カウンセリングを実施されている理由がよくわかりました。