なかなか授からなくて途方に暮れてしまったとき

2010年05月24日

排卵と思われる頃に、頑張っているにもかかわらず、なかなか授からない・・・、また、ドクターの勧め通り、治療を受けているにもかかわらず、なかなか授からないとなると、もはや、途方に暮れてしまいかねません。

どうすればいいのか分からなくなってしまうのも、仕方のないことでしょう。

でも、当事者だからこそ、見えにくくなってしまうこと、見過ごしてしまうことがあるのも事実です。

そこで、今週の妊カラでは、これまでのご相談事例をもとに、なかなか授からなくて途方に暮れてしまったとき、ココロの体勢を立て直すきっかけやヒントをご提供できればと思います。

キーワードは、見通し、正しい知識、そして、勇気です。

★自分たちなりの"見通し"をもつ!

この先、どうなるのか、全く見えない、分からないとなると、悲観主義者でなくても、途方に暮れてしまうのは当然でしょう。

ただでさえ、「先の見えないトンネル」を進むわけです。

自分たちなりの「見通し」を持たないことには心もとない限りです。

ところが、治療を始めるときに、ドクターから、「それでは、お薬を使いましょう」とか、「そろそろ、人工授精をやりましょう」という勧めにしたがって、"それで、妊娠できるなら"との一心で、頑張って治療に臨むというケースは、決して、少なくありません。

その薬は何のために飲むのか、その治療はどんな目的で施すのか、そして、薬を飲んだり、その治療を受けることで、どれくらいの妊娠が期待できるのか、さらに、投薬や治療は、場合によっては、どれくらい繰り返す必要があるのかについては、あまり、知らされていないようです。

その結果、見通しを持たないままに、今度こそはと期待を膨らませ、生理がやってくる度にがっかりする、そんなことを繰り返すことは本当に辛いものです。

期待するなと言いたいわけではありません。

少し長い目でみておくことがとても大切だと思うのです。

なんのための治療なのか、どれくらいの確率で妊娠できるのか、そして、何回くらい治療を繰り返す必要があるのか、さらに、この治療で妊娠できなかったら、その先にはどんな選択肢があるのかを知ることで、現在の自分たちの目標までの距離感、すなわち、自分たちなりの見通しをもつことが可能になります。

そのことによって、自分を見失わなくなり、そして、それどころか、励みにさえなるはずです。

★不妊治療について"正しい知識"をもつ!

不妊の原因に対して治療を施せば、すぐにでも妊娠できると考えるのは当然のことでしょう。

ところが、それにもかかわらず、なかなか妊娠に至らないというケースは少なくありません。

なぜでしょう?

まずは、確率の問題が考えられます。

何の問題もない場合でも、周期あたりの妊娠率は25%くらいとされています。周期あたりの妊娠率が25%というのは、6周期の累積妊娠率にすると80%ちょっとです。

このように、不妊の原因を取り除いても、すぐには妊娠に至らないことは十分にあり得るわけです。

また、見つけることが困難な他の原因があることが考えられます。

現在の医学では、すべての不妊検査を実施したとしても、妊娠を妨げている原因を全て把握することは不可能です。

実際に、不妊検査で、何らかの原因がみつかるケースは約6割くらいだとされていますが、残りの4割は、原因が存在しないのではなくて、見つけられないと考えるべきです。

そして、最後に、年齢が高くなるに伴って、妊娠するまでに時間がかかるのを、逆転させる不妊治療は存在しないということ。

年齢による妊娠率の低下は、たとえ、体外受精をもってしても治療できないということです。

このように、不妊治療は、どうしても、思っていた以上に長引いてしまうところがあるのです。

そして、それは、宿命的と言えるかもしれません。

★休んだり、ステップダウンする"勇気"をもつ!

タイムリミットのある不妊治療ですから、一周期も無駄にしたくないというのは人情でしょう。

ましてや、不妊治療でないと妊娠が望めないケース、年齢が高くなってくると、尚更のこと。

ところが、治療が想像以上に長引いてしまったら、いったん、治療を休んで、リフレッシュすることが、肉的的にも、精神的にも、とても、大切になってきます。

また、最も妊娠率が高いとされている高度な治療を受けるようになると、もはや、自分たちは、高度な治療でしか妊娠できないかのような、そんな錯覚に陥ってしまいがちです。

ところが、さまざまな負担の大きい高度な治療を繰り返すよりも、ステップダウンすることが得策であると考えられるケースもあります。

つまり、不妊治療をはじめたら、休まず継続しなければならないわけでも、ステップアップはあり得るけれども、ステップダウンはあり得ないわけでもないわけです。

大切なことは、自分たちにとってベストな不妊治療との付き合い方を考えることです。

不妊治療は"頼るもの"ではなく、"活用するもの"だからです。

いかがでしょうか?

不妊治療というのは、ただでさえ、不安や心配はつきものであるにもかかわらず、ちょっとしたボタンの掛け違いで、不必要に、精神的な負担を、抱え込んでしまいかねないところがあるようです。

簡単ではないかもしれませんが、解決が可能なことも少なくないようです。