デンマークのマーガリンへのビタミンD添加政策前後の不妊症女性の出産率

生活習慣・食事・サプリメント

2019年11月24日

Fertility and Sterility

デンマークの不妊症と診断された女性の妊娠確率はマーガリンへのビタミンD添加政策終了後に比べて添加政策実施中のほうが高かったことが、デンマーク不妊コホートを使った研究で明らかになりました。

高緯度に位置するデンマークでは日照時間の短さによるビタミンD不足対策として、1962年から1985年までビタミンDをマーガリンに添加する(100gあたり50IU)ことが義務づけられていました。そこで、デンマークがん協会の研究者らは、マーガリンへのビタミンDの添加が不妊症女性の出産率への影響を検討すべく、デンマークの国家データベースを用いた研究を実施しました。

ビタミンDがマーガリンに添加されていた時期(1980年6月1日から1985年5月31日)、添加終了直後で影響が残る時期(1985年6月1日から1986年8月31日)、添加の影響がなくなった時期(1986年9月1日から1991年8月31日)の3つの期間に医療機関で不妊症と診断された女性の12ヶ月後の妊娠率を比較しました。

その結果、出産に至った女性の人数と割合は以下の通りでした。

・添加されていた時期     :917名/6313名(14.5%)
・添加終了直後で影響が残る時期:174名/1404名(12.4%)
・添加の影響がなくなった時期 :737名/8495名(8.7%)

このように添加されていた時期が出産に至った女性の割合が最も高かったことがわかりました。

また、それぞれの時期の出産に至ったオッズ比(添加の影響がなくなった時期をに不妊症と診断された女性のその後の出産に至ったオッズ比は以下の通りでした。

・添加されていた時期     :1.87(95% CI 1.68-2.08)
・添加終了直後で影響が残る時期:1.52(95% CI 1.27-1.81
・添加の影響がなくなった時期 :1(reference)

このようにデンマークで不妊症と診断された女性のその後、出産に至る確率は、マーガリンにビタミンDが添加されなくなった時期に比べて、添加されたいた時期のほうが87%高かったことがわかりました。

これらのデータからビタミンDの充足は妊娠、出産にプラスの影響を及ぼすことが示唆されました。


コメント

この10年で、食事や栄養素が妊娠しやすさ、不妊治療の治療成績に関連するという研究データが蓄積されてきています。その中でもビタミンDは最も注目されている栄養素の1つです。

ビタミンDは、その他のビタミンとは異なり、魚やきのこなどからの摂取していますが、必要な量のほとんどが、紫外線を浴びて皮膚でつくられるという特徴があります。そのため、特に紫外線を避ける女性の間で不足していることが多く、不妊女性ではほとんどが不足していると言われています。

そのような特徴をもつことから、日照時間が限られている北欧ではビタミンD不足が深刻で、社会問題となっています。そのため、デンマークでは1962年から1985年まで、マーガリン製造メーカーに対して全ての製品にビタミンDを添加することを法律で義務づけていました。このビタミンD添加政策で、デンマーク人のビタミンDの1日の平均摂取量が13%増加したとの報告がなされています。ただし、この添加政策が、1985年3月31日に、突然、中止されました。

そこで、ビタミンDの添加政策の不妊症と診断された女性の妊娠率への影響が調査されました。

その結果、添加していた時期のほうが出産に至る確率が87%高かったことがわかり、たとえ、少ない量でも日々のビタミンDの摂取量を増やすことは妊娠、出産に有利になることが示唆されました。

ビタミンDの過不足は血中の25(OH)Dを測定すればわかります。もしも、不足していればサプリメントで補充し、充足レベルにもっていくことが望ましいと言えます。


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