女性の抗酸化物質の摂取とART治療成績の関係

生活習慣・食事・サプリメント

2019年08月24日

Am J Obstet Gynecol

女性のART治療開始前のビタミンAやビタミンC、ビタミンEの摂取量と関連しなかった一方で、意外なことに、βカロテンやルテイン、ゼアキサンチンの摂取量が多いほど出産率が低いことがアメリカで実施された研究で明らかになりました。

ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、女性の抗酸化物質や関連化合物の摂取がART成績に関連するか否かを検討すべく、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べている現在進行中の研究)に参加している349名の女性患者(18-45歳)の588周期を対象にした前向き研究を実施しました。

ART治療開始前に食物摂取頻度調査票を用いて、過去1年間の131種類の食物の摂取頻度と1回のおよその摂取量、サプリメントの利用状況を調べ、栄養素の摂取量を推測し、各抗酸化物質や関連化合物の摂取量で4つのグループにわけ、治療成績との関連を解析しました。

その結果、ビタミンA、C、そして、Eなどの抗酸化ビタミンの摂取量はその後の出産率と関連しませんでした。

ところが、食事からのβカロテンの摂取量が最も多かったグループは最も少なかったグループに比べて出産率が有意に低い(50% vs 22%, p=0.03)ことがわかりました。

ルテイン・ゼアキサンチンも同様(44% vs 22%)の傾向が見られました。

ただし、βカロテンのサプリメントの摂取量やレチノール、その他のカロテノイドの摂取量は出産率に関連しませんでした。

コメント

ERTH研究では、女性のビタミンAやビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化物質の摂取はART治療成績とは関連しないという結果で、意外にも食事からのβカロテンやルテイン・ゼアキサンチンの摂取が出産率とネガティブな相関を示しています。

βカロテンと出産率とのネガティブな相関は、サプリメントからのβカロテンの摂取量は関連しませんでしたので、栄養素そのものというよりも、βカロテンを含む食品の影響かもしれませんが、このことについては何らかの結論を導くことは出来ません。

一方、女性の抗酸化物質(抗酸化サプリメント)の摂取とART成績の関連については、コクランレビューのメタ解析で、ART女性患者の抗酸化サプリメント摂取はプラセボや非摂取に比べて、出産率を6-23%、妊娠率を5-11%高める可能性があるとしながらも、それぞれの臨床試験の研究方法のバラツキが大きいことや全体のサンプル数が少ないことからエビデンスレベルは極めて低く、抗酸化サプリメントの有効性については結論は出せないとしています。

男性に比べて女性の場合は、治療成績に関与する因子が多く、複合的で、抗酸化物質の摂取量だけでは関連は見出せないのかもしれません。

一方、地中海食等の食事パターンとART治療成績は関連するという報告はあることから、妊娠にマイナスの影響を及ぼすような原因がない限りは、健康的で、バランスのよい食事を心がけることが最も大切なのかもしれません。

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