人工甘味料と体外受精治療成績は関連するか?

生活習慣・食事・サプリメント

2018年01月23日

Reprod Biomed Online 2018; 36: 145.

1日に3本以上の清涼飲料水、あるいは、1日に1本以上のダイエット清涼飲料水や人工甘味料入りのコーヒーは顕微授精の治療成績の一部にマイナスの影響を及ぼす可能性のあることがブラジルの研究で明らかになりました。

サンパウロのthe Fertility Medical Groupの研究者らは、砂糖や人工甘味料入りの清涼飲料水やコーヒーを習慣的に飲むことと顕微授精の治療成績との関連を検討すべく、横断研究を実施しました。

顕微授精に臨む524名の女性(平均年齢36.4歳)を対象に、治療開始前に栄養士によるインタビューを実施し、過去1年間に習慣的に飲んでいるコーヒーや清涼飲料水の種類(清涼飲料水・ダイエット清涼飲料水・砂糖なしコーヒー・砂糖入りコーヒー・人工甘味料入りコーヒー)と平均的な摂取量を調査し、その後の治療成績との関連を解析しました。

清涼飲料水やコーヒーの摂取と卵子の質との関連では、コーヒーの摂取はその種類に限らず、関連しませんでしたが、1日に3杯以上の清涼飲料水の摂取は卵細胞質中央の粒や液胞、滑面小胞体凝集塊などの卵子形質異常(卵子の質が低い)を示す現象の発生に有意に関連しました。

一方、ダイエット清涼飲料水は1日に1杯でも、2杯での、3杯以上でも、卵子の質の低さを示す卵細胞質中央の粒や液胞、滑面小胞体凝集塊の発生と有意に関連し、質の高い卵子である調整済みオッズ比はダイエット清涼飲料水の摂取量が増えるほど低くなりました。

次に顕微授精後の胚の質や治療成績との関連では、砂糖なしのコーヒーや砂糖入りのコーヒーの摂取はいずれとも関連しませんでした。

その一方、人工甘味料入りコーヒーの習慣的な飲用は初期胚の質とネガティブに関連し、摂取量が増えるほど良好な胚の調整済みオッズ比は低くなり、胚盤胞形成率や着床率、妊娠率も摂取量が増えるほど低くなる傾向が見られました。ただし、出産率には関連しませんでした。

また、清涼飲料水はいずれとも関連しませんでした。

一方、ダイエット清涼飲料水は初期胚の質とネガティブに関連し、摂取量が増えるほど良好胚の調整済みオッズ比は低くなりました。ただし、1日1杯では胚盤胞形成率や着床率、妊娠率とは関連しませんでしたが、1日2杯、3杯以上になるとそれらとの有意な関連がみられました。ここでも出産率の関連はみられませんでした。

これらの結果から1日3本以上の清涼飲料水や1日1本以上の人工甘味料入りコーヒーやダイエット清涼飲料水は卵子の質や顕微授精の治療成績の低下と有意に関連することがわかりました。

コメント

砂糖入り清涼飲料水が体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼす可能性があることはこれまでいくつかの研究で明らかにされていますが、今回の研究では人工甘味料との関連を検討しています。

その結果は、人工甘味料入りコーヒーやダイエット清涼飲料水の習慣的な飲用は卵子の質や顕微授精の治療成績にマイナスんも影響を及ぼす可能性があるというものでした。

ただし、治療成績で最も気になる(大切な)出産率との関連までは認められてはいません。

また、飲み物の習慣的な飲用やその量の調査は再現性や信頼性が検証された方法による方法ではないこと、一時点での飲料の習慣的な飲用と治療成績との関連を調べた横断研究という研究デザインによる相関関係であり、結論を導くことはできません。

ネット上では人工甘味料の危険性について多くの情報が流されていますが、結論が出ているわけではありません。

どんなものでも摂り過ぎはよくありません。

妊娠を望むカップルへのアドバイスとしては、それほど神経質にならずに、人工甘味料入りのコーヒーやダイエット飲料については、少なくとも、毎日飲むようなことは避けたほうが無難ということになるでしょうか。