たんぱく質と炭水化物の摂取バランスと生殖機能や寿命との関係

生活習慣・食事・サプリメント

2015年05月11日

PNAS

生殖機能には「高タンパク低炭水化物食」、長寿には「高炭水化物低たんぱく質」が、それぞれ、ふさわしいことが、マウスを使った実験で確かめられました。

オーストラリアのシドニー大学の研究チームは、生殖機能や長寿には3大栄養素をどのようなバランスで食べるのがふさわしいのかを調べるためにマウスを使った試験を実施しました。

858匹のマウスにたんぱく質や炭水化物、脂質、エネルギーのバランスを少しずつ変えた25種類の餌を食べさせ、その内144匹の15ヶ月齢のマウスは生殖機能と3大栄養素のバランスの関係を、714匹のマウスは寿命と3大栄養素のバランスの関係を、それぞれ、調べました。

生殖機能の目安として、メスマウスでは子宮重量や卵胞、黄体の数、発情サイクル数、オスマウスでは精巣重量や精巣上体の精子数を測定しました。

その結果、生殖機能と長寿にふさわしいたんぱく質と炭水化物バランスは反対であることが明らかになりました。生殖機能には「高たんぱく低炭水化物食」が、長寿には「高炭水化物低たんぱく食」が、それぞれの機能にふさわしいことがわかりました。

また、その一方で、低カロリー食は生殖機能を低下させることがわかりました。

コメント

従来、動物にとって、必要な資源は限られているため、生殖能力と寿命はトレードオフの関係にあって、生殖機能を長く維持するためには寿命を犠牲にし、長寿のためには生殖能力を犠牲にせざるを得ないと考えられてきました。

ところが、今回、栄養の摂取バランスと生殖機能や寿命との関係をマウスを用いてはじめて実施され、生殖と寿命を保つために最適な栄養バランスが異なることを明らかにしました。

このことから、それぞれのライフステージで摂取する栄養バランスを変えることで、生殖機能を長く保ちながら、長寿を実現することが可能ではないかと推測しています。

また、このことは人間にもあてはまるのではないかとして、高齢で妊娠、出産を目指す女性は、高たんぱく低炭水化物食がよいかもしれないとのこと。