体外受精の副作用・合併症の発症率

不妊治療のリスク

2015年01月10日

JAMA(The Journal of American Medical Association)

体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療の合併症の発症リスクはそれほど高くないことが、2000年〜2001年のアメリカの統計から明らかになりました。

アトランタのエモリー大学の研究チームは、疾病管理センター(CDC・高度生殖補助医療の監督官庁)に提出された2000年〜2001年の全米の体外受精や顕微授精の臨床成績データから副作用・合併症の発症状況(多胎妊娠を除く)を調べました。

自己胚を用いた治療周期(1,135,206周期)で、最も頻度の高かったのはOHSS(卵巣過剰刺激症候群)で、10,000周期に153.5件の発症率(1.53%)でした。その次は入院で、10,000周期に34.8件の割合でした。そして、感染症や輸血が必要な出血、薬物有害事象、麻酔合併症、死亡などはいずれも10,000周期に10件未満の割合でした。

このことから体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療は比較的安全な治療であることが示されたとしています。

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体外受精や顕微授精の際の副作用・合併症には以下のようなものがあります。

・卵巣刺激に伴う副作用:OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
・採卵に伴う合併症:麻酔合併症、出血(膣壁、腹腔内)、PID(骨盤内炎症性疾患)
・胚移植に伴う合併症:出血、感染
・妊娠に伴う合併症:子宮外妊娠、多胎妊娠

多胎妊娠は、産婦人科学会のガイドラインにより子宮に戻す胚の数を原則として1個に定められてからはその発生率は大変低くなりました。そのため、現在ではOHSS(卵巣過剰刺激症候群)が代表的な合併症になっていますが、そのOHSSも適切な卵巣刺激を行うことで、ほぼ予防可能になったと言われています。

ただし、日本では日本産科婦人科学会によって高度生殖補助医療治療周期が登録、集計され、治療成績(ARTデータ集)として公表されていますが、副作用・合併症については登録されていないため、実際にどんな副作用・合併症がどのくらいの頻度で発生しているのかは不明でです。

今回発表されたのは、アメリカのデータです。アメリカでは政府の健康福祉局(Department of Health and Human Services)の下部組織である疾病管理センター(Center for Disease Control and Prevention)が体外受精を実施する医療機関の監督官庁として、毎年、高度生殖補助医療の臨床データを収集し、チェックし、公表しています。アメリカでは、副作用・合併症のデータや個々のクリニックの臨床成績が公表されているところが日本との大きな違いです。

そのため今回の報告はそのことを知るための参考になります。

実際のところ体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療は副作用・合併症という面からみれば、とても安全な治療法と言えます。

主な副作用・合併症のOHSSの頻度は10,000周期に153.5件で、発症率は1.53%です。因みにこれまで日本のデータとして報告されているのは入院を要するもので0.8〜1.5%とされていますので、ほぼ同じレベルです。

高度生殖補助医療に臨む際には、どんな副作用・合併症が起こり得るのかについては知っておく必要があると思います。