乏精子症、精子無力症の男性不妊へのSOサポート服用効果

男性不妊治療方法

2014年04月27日

Arch Ital Urol Androl

抗酸化サプリメント「SOサポート」の継続的な摂取は乏精子症や精子無力症、精子奇形症の男性不妊患者の精子濃度や精子運動率に改善なることが日本で実施された試験で明らかになりました。

獨協医科大学越谷病院泌尿器科の研究チームは、OAT症候群(精子数が少なく、運動率が低く、奇形率の高い)の男性不妊患者169名(25〜58歳、平均36歳、平均不妊期間2.3年)を対象に、抗酸化サプリメント「SOサポート(コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、αリノレン酸)」を服用してもらい、服用前、3ヶ月後、6ヶ月後に精液検査を実施し、SOサポートの服用効果を測定しました。

その結果、平均の精子濃度は服用前2,630万が、3ヶ月後には3,750万、6ヶ月後には4,900万に、精子運動率は服用前25.2%が3ヶ月後には39.1%、6ヶ月後には41.3%に、ぞれぞれ、改善されました。

また、試験期間中に48名(28.4%)が妊娠に至り、その内16名(9.5%)は自然妊娠で、7名は服用後3ヶ月後、8名は6ヶ月後、1名は9ヶ月後と、自然妊娠したほとんどのカップルは半年以内に妊娠しました。一方、32名は生殖補助医療を受けて妊娠に至っており、治療法の内訳は6名が人工授精、8名は体外受精、そして、18名は顕微授精でした。

これらの結果から、抗酸化サプリメント「SOサポート」は、精子濃度や精子運動率を改善させることがわかりました。ただし、妊娠率の改善に対する服用効果についてさらなる研究が必要であるとしています。

コメント

精液検査の結果、基準値を下回る結果が出た場合、実際には1つの項目の数値だけが低いというケースは少なく、精子濃度、精子運動率、正常形態精子率の3つがいずれも低いことが多いものです。これらを総称して、「OAT症候群(oligoasthenoteratozoospermia syndrome)」と呼ばれています。

原因不明のOAT症候群が男性不妊の4分の3を占めるとされていて、なんらかの理由で、精子がうまくつくられていない、すなわち、精子をつくる働きが一時的に低下していると考えられています。

このようなケースでは、特効薬が存在しないため、精液検査の数値の程度によって、人工授精や体外受精、顕微授精で妊娠を目指すのが一般的です。

男性側に原因があるのにもかかわらず、女性に対する治療が施されるわけで、もしも、男性の精子の状態が少しでも改善されれば、女性への治療が不要になるかもしれませんし、たとえ、治療が必要な場合でも女性への負担の軽い治療で妊娠できるかもしれません。

そのため、たとえ、確実な方法がなくても、精液検査の結果を改善させる努力をする価値は十分にあるわけです。

原因不明の男性不妊の場合、酸化ストレス(活性酸素増大)が関与すると考えられているため、まずは、喫煙や大量の飲酒をやめ、バランスのよい食生活、頻繁な射精、ストレスのマネージメントなど、生活習慣を改善することが大切です。

また、サプリメントや漢方薬の服用も試してみる価値があります。

サプリメントについてはこれまで抗酸化物質を補充するのが有効であるとの臨床研究結果が多数報告されています。ところが、抗酸化物質は無数と言ってよいくらいたくさんあって、実際に、どんな抗酸化物質を、どのくらい摂取するのがいいのか、エビデンスが確立されていませんでした。そのため、ビタミンやミネラル、コエンザイムQ10、L-カルニチン、アスタキサンチン、リコペン、さらには、さまざまなポリフェノール類などが試されているのが現実です。

ただし、昨今の高齢不妊の急増で、限られた期間、限られた治療機会に最大の効果を得るためには、少しでも効果が確かめられているものを選びたいものです。

今回の臨床研究で使用されたSOサポートはコエンザイムQ10やビタミンC、ビタミンEの他に、亜麻仁油を配合し、オメガ3脂肪酸であるαリノレン酸をブレンドしていることが他の抗酸化サプリメントには見られない特徴です。

精子は卵子のところまで確実に到達するためには膨大なエネルギーが必要とされますが、精子ミトコンドリアでそのためのエネルギーを産生すればするほど活性酸素が発生し、精子の細胞膜の脂質や細胞のタンパク質を酸化させ、精子の運動能力を低下させてしまうのです。

全く皮肉なものです。精子が活発に泳げるように細胞膜は主にオメガ3脂肪酸で構成されていて、この脂質が酸化ストレスに大変弱いことも一因です。

ですから、膨大な数の抗酸化物質の中でも、強力な抗酸化作用を有するだけでなく、ミトコンドリアでエネルギー産生の最終段階で必須の補酵素であるコエンザイムQ10が有効であることは理屈にかなっています。これまで最も精度の高い方法(二重盲検比較対照試験)で精液所見の改善効果が確かめられていることがうなずけます。

そして、お互いの抗酸化作用を補いあう、抗酸化ネットワークを強化するためのビタミンCとビタミンE、そして、精子の細胞膜の主要な構成成分であるオメガ3脂肪酸の代表的な脂肪酸であるαリノレン酸をブレンドすることでその作用をサポートすることになっているものと考えられます。