コエンザイムQ10は男性不妊患者の精液中の抗酸化力を高める

男性不妊治療方法

2013年01月17日

Andrologia

コエンザイムQ10の摂取によって、原因不明のOAT症候群(精子濃度や精子運動率、正常精子形態率が基準値を下回る)の男性不妊患者の精液中の抗酸化能力が改善されることがイランで実施された試験で確かめられました。

イランの研究グループは、コエンザイムQ10の服用と精液中の抗酸化能力との関係を調べるために、原因不明で精子濃度や精子運動率、正常精子形態率が基準を下回った男性不妊患者47名を対象に二重盲検試験を実施しました。

対象者をランダムに2つのグループに分け、一方のグループ(23名)にはコエンザイムQ10を1日に200mgを、もう一方のグループ(24名)にはプラセボ(偽薬)を、それぞれ、3か月間服用してもらいました。

その結果、コエンザイムQ10服用グループの精漿中のコエンザイムQ10の平均の濃度が、44.74ng/mlから68.17ng/mlと上昇しました。

また、コエンザイムQ10グループでは、精漿中のカタラーゼやSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)といった抗酸化酵素の活性が高まったことが確認されましたが、プラセボグループでは変化が見られませんでした。

さらに、精漿中の酸化ストレスマーカー(イソプラスタン)は、コエンザイムQ10服用グループでは、31.04pg/mlから22.86pg/mlに低下したのに対して、プラセボグループでは34.91pg/mlから42.54pg/mlに上昇したことがわかりました。

これらの結果からコエンザイムQ10の服用は、男性不妊患者の精液中の抗酸化能力を高め、酸化ストレスを低減させるのに有効であると結論づけています。

コメント

精液検査の結果、精子濃度、精子運動率、正常精子形態率がいずれも基準値を下回ることをOAT症候群と呼んでます。精子をつくる働きが低下した場合、どれか1つだけ悪化するケースはまれで、総数も、運動精子も、正常形態の精子も、少なくなることが多いことからそのように呼ばれることになったようです。

原因不明の造精機能障害の場合、特効薬は存在せず、女性への治療に進むしかないのが実情ですが、最近、抗酸化療法が有効であるとの報告が世界中で相次いでいます。

ただし、抗酸化作用のある成分は無数と言っていいくらいありますが、コエンザイムQ10はきちんとした臨床試験で、その有効性が確かめられています。

強力な抗酸化作用を有するだけでなく、細胞内のミトコンドリアでエネルギー産生に必須の補酵素であることが精液中の酸化ストレスを低減させ、精子のDNAを保護するだけでなく、精子の運動エネルギーの産生効率を高めることが有効性の根拠と考えられています。

当社でも、コエンザイムQ10に、ビタミンCとビタミンE、オメガ3脂肪酸であるαリノレン酸を配合したサプリメント(SOサポート)が医療機関で採用され、学会でもその臨床使用報告がなされています。