魚油のサプリメントが子宮内膜症による癒着を抑制する(動物実験)

2012年10月30日

Fertility and Sterility

魚油のサプリメントが子宮内膜症による癒着を抑制することがマウスを使った動物実験で確かめられました。

アメリカのテネシー州のヴァンダービルト大学医学部の研究チームは、魚油を摂ることで子宮内膜症の症状や癒着にどのような影響を及ぼすか実験用マウス使った実験を実施しました。

マウスを2つのグループに分け、一方には魚油を添加した餌を、もう一方の比較対照グループには通常の餌を、2週間以上与えた後、人間の子宮内膜症の病変組織を移植し、その1週間後に解剖し、子宮内膜症の病変やそれに伴う癒着の状態を調べ、さらに、組織を切除してその形態を調べました。

その結果、魚油を与えたマウスは通常の餌を与えたマウスに比べて、病変や癒着が縮小していることがわかりました。また、通常の餌を与えたマウスの癒着や病変内では白血球数が多く、魚油を与えたマウスに比べて強い炎症がみられました。

このことから、魚油の補充が、子宮内膜症の切除後の癒着発生を抑制する可能性があると結論づけています。

コメント

オメガ3脂肪酸であるDHAEPAが豊富な魚油の抗炎症反応が子宮内膜症の悪化や癒着を抑制する可能性があることは、これまでも多くの報告があります。

ただし、魚油が子宮内膜症そのものへの治療効果があるというわけではなく、決して、根治療法となり得るわけではありません。

魚油に豊富に含まれるDHAEPAなどのオメガ3脂肪酸の炎症を抑制する働きが子宮内膜症の悪化や癒着の広がりを緩和させる可能性があるのではないかということです。

また、単に、オメガ3脂肪酸を補充するだけでなく、反対の働き、すなわち、炎症反応を促進する働きのあるオメガ6脂肪酸の摂取量を減らすことも大切です。

炎症を促進する(しやすい)か、炎症を抑制する(しにくい)かは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取量のバランスが影響するからです。現代に特有の食生活は、オメガ3脂肪酸の摂取量が少なく、オメガ6脂肪酸の摂取量が多くなります。

子宮内膜症の方はその悪化を予防するためにDHAEPAのサプリメントを摂るとともに、食生活全体を見直すことも大切だと思います。

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