不規則な食生活は卵巣機能を低下させるおそれがある

生活習慣・食事・サプリメント

2011年06月16日

Cell Metabolism

不規則な食生活は、妊娠する力を低下させてしまう可能性のあることが、アメリカで実施されたショウジョウバエを使った実験で明らかになりました。

ペンシルバニア大学の研究チームは、生き物の身体に備わっているリズム(サーカディアンリズム)が生殖能力に影響を及ぼすのかどうかを調べるために、光のよる体内時計への影響を排除するために同じレベルの明るさでショウジョウバエを飼育し、通常の時間とは異なる時間にエサを与えることで、人間の肝臓に相当する器官に備わった末梢時計を狂わせました。

その結果、通常の時間とは異なる時間にエサを与えたショウジョウバエの1日の平均産卵個数は5個で、正常なショウジョウバエの平均産卵個数の8個を下まわり、生殖能力が低下したことを確認しました。

このことから、ショウジョウバエの肝臓の末梢時計の乱れが生殖能力の低下に関与したのではないかとしています。

ただし、そのメカニズムは不明であり、このことが人間にも、そのまま当てはまるかどうかは分からないとしています。

コメント

これまで食生活と妊娠する力の関係は、"何を食べるか"について、語られてきましたが、今回の研究報告では、"いつ食べるか"も重要であることを教えてくれました。

まず、知っておきたいこととして、地球上の生物には必ず、おおよそ1日サイクルで変動するリズムが備わっているということです。サーカディアンリズム(慨日リズム)と呼ばれています。地球は1日で太陽の周りを1周することで昼と夜が入れ換わるリズムが長い歴史の中で、自然に生き物に備わり、睡眠や体温、免疫、ホルモン分泌などの全ての生命活動をコントロールしています。

そして、このリズムを奏でるのが体内時計で、脳内の中枢時計と全身の細胞に存在する末梢時計があり、お互いにやりとりして、常に正常なリズムになるように調整しています。

ただし、それらの体内時計は外部の環境に強く影響を受け、中でも"光"と"食事"の影響が大きいようです。

今回はショウジョウバエを使った実験で、不規則な時間に食事をとると、肝臓の体内時計が乱れ、そのことが卵巣に何らかの影響を及ぼし、産卵数の減少を招いたことを確認しました。

ショウジョウバエで起こった食事の時間と生殖能力の関係がそのまま人間にあてはめられませんが、実は、人間とショウジョウバエは、ほとんど同じ遺伝子を使って時を刻む生物時計を持っていると言われています。

そのため、不規則な食生活は卵巣の機能を低下させる可能性が大きいはずです。

毎日、規則正しいリズムで生活し、食事することが、卵巣機能の低下を予防するために大切なことになると考えられます。