胚盤胞まで培養することは一卵性双胎の発生率を高める

不妊治療のリスク

2011年03月31日

Fertility and Sterility

体外受精で受精後5日目の胚盤胞まで培養し、移植することで一卵性双胎のリスクが高くなることが東京のクリニックの治療成績で明らかになりました。

2002年から2008年の間に加藤レディースクリニックで実施された、47,841周期の単一胚盤胞移植で、14,956例が臨床的に妊娠が確認され、その内、151(1.01%)が一卵性双胎児でした。

このことから初期胚で胚移植した場合に比べて、胚盤胞まで培養することで、一卵性双胎の発生が2.04倍になることが分かりました。

コメント

体外受精では通常は受精後2日、もしくは、3日目の分割胚を移植します。

ただし、本来(自然妊娠)であれば、子宮に到達するのは受精後5日目の胚盤胞の段階なわけですから、初期分割胚を子宮に移植するのは不自然なところがあります。

そして、培養技術が進歩によって胚盤胞まで培養することが可能になったことで、胚盤胞まで発育した、良好な胚を移植することが可能になりました。

それが胚盤胞移植です。

初期胚を移植した時よりも、当然、着床率、妊娠率が高くなります。

多胎妊娠を予防するために移植する胚の数を1個に制限されてからは、妊娠のためにはより良好な胚を選別して移植することが求められるようになってからは単一胚盤胞移植が急増しています。

ところが、単一胚盤胞移植で、高い妊娠率が得られ、かつ、多胎妊娠が激減したものの、よいことばかりではありませんでした。

胚盤胞まで培養することのデメリットの一つが今回報告された一卵性双胎の増加です。全体の発生率は1%ですが初期胚に比べて2倍になるとのこと。

また、必ずしも全ての受精卵が胚盤胞まで成育するとは限りません。だいたい20~30%程度とされています。このことは、移植あたりの妊娠率が高くても、採卵あたり、治療周期あたりの妊娠率を算出すると低くなってしまいます。

さらに、培養環境の違いから、初期胚で移植すれば妊娠できる受精卵を胚盤胞まで培養することで妊娠のチャンスを逃してしまうというリスクもあります。

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