ビタミンB群摂取量と月経前症候群(PMS)発症率との関係

生活習慣・食事・サプリメント

2011年03月02日

The American Journal of Clinical Nutrition

食事からビタミンB1やビタミンB2の摂取量の多い女性ほど、月経前諸侯群(PMS)の症状が出にくいことが、アメリカで実施された大規模な疫学調査のデータから明らかになりました。

アメリカのマサチューセッツ大学の研究者らは、食事やサプリメントによるビタミンB群の摂取量とPMS発症との関連性を調べるために、1991年から10年間、看護師を追跡調査した疫学調査「the Nurses' Health StudyⅡ」に参加した看護師のデータを分析しました。

調査開始時の1991年にはPMSでなかった女性看護師を10年間追跡調査し、追跡調査期間中にPMSを発症した1057名と発症しなかった1968名の1991年、1995年、1999年時点でのアンケートから食事やサプリメントによるビタミンB群の摂取量を比較しました。

その結果、食事からのビタミンB1とビタミンB2の摂取量が多い女性ほどPMSを発症するリスクが低いことがわかりました。

また、診断の2~4年前時点で食事からビタミンB2の摂取が最も多かったグループの女性は、最も低かったグループの女性に比べて、PMSの発症率が35%低いことが分かりました。

ただし、それ以外のビタミンB(葉酸、ビタミンB6、B12、ナイアシンの摂取量、及び、サプリメントによるビタミンB群の摂取はPMSのリスクには関連しませんでした。

コメント

月経前症候群(PMS)というのは、「黄体期に起こる精神的あるいは身体的症状で、月経開始後すみかやに消退するもの」と定義されてういますが、月経前にくり返しあらわれる心身の不快な症状のことです。

具体的には、イライラしたり、うつっぽくなったり、体がむくんだり、頭痛、腹痛、腰痛、食欲の変化、便秘、下痢、乳房のはり、疲労感、皮膚や粘膜のトラブルと、精神的、心身的に多岐に渡ります。

この研究で、ビタミンB群の摂取量とPMSの発症率との関連を調べたのは、ビタミンB群は、PMS発症に関わる神経伝達物質の合成にビタミンB群が必要とされることが分かっているからです。

興味深いのは、食事からのビタミンB1とビタミンB2の摂取だけ関連がみられたことです。

ビタミンB1やビタミンBというと、小麦やコメの胚芽や落花生、牛レバー、のり、うなぎ蒲焼に豊富で、加工食品や精製食品を多く食べるようになった現代に特有の食生活では不足しがちな栄養素です。

因みに玄米を精製して白米にすると、ビタミンB1は約8割弱、ビタミンB2は約6割強もなくなってしまいます。

そして、サプリメントでビタミン群を摂取しても、PMSの発症には関連しなかったと言います。

このことは、単にビタミンB1やビタミンB2が多いか少ないかということではなく、食生活の傾向がPMSの発症リスクに影響しているとういうことが言えます。

つまり、加工食品や精製食品を多く食べる女性はPMSになりやすいということではないでしょうか?

診断の2~4年前の摂取状況が影響したということですので、すぐに効果は期待できないかもしれませんが、PMSに悩む女性は、玄米食にし、出来だけ加工食品や精製食品を少なくするように食生活を改善するのがいいと思います。