治療前のストレスがその周期の体外受精の治療成績に及ぼす影響

ストレス

2011年02月28日

British Medical Journal

体外受精の治療を開始する前のストレスレベルは、その周期の治療成績と関連しないことが、イギリスの大学の研究で明らかになりました。

イギリスのカーディフ大学の研究グループは、治療前のストレスが体外受精の治療成績にどのように影響を及ぼすのかを調べるために、これまでに実施された、トータルで3,583組のカップルを対象にした14の研究データを統合して、解析しました。

その結果、治療前のストレスレベルと体外受精の治療成績には相関関係がみられなかったとのこと。

不妊経験や不妊治療は大きなストレスをもたらし、多くの不妊患者はそれらのストレスは妊娠する力を低下させ、不妊治療の成績を低下させると信じているけれども、少なくとも、その治療周期の治療成績を悪化させることはないことは知っておいたほうがいいとしています。

コメント

ストレスは、不妊の原因なのか、結果なのか、そして、ストレスは治療成績に影響を及ぼすのかについては、及ぼすとする試験もあれば、及ぼさないとする試験もあります。

今回の研究では、治療前のストレスとその周期の治療成績を過去の臨床試験の結果を統合して、調べているものです。

結果は、影響は見られなかったというものですが、その周期の治療成績との関連ですから、たとえば、妊娠しない治療周期が続いた場合の影響までは分かりません。

そもそも、治療成績に影響を及ぼすのは複数あり、その影響は複合的です。そのため、ストレスは治療成績には影響しないとは決して言いきれるものではありません。

ただし、ストレスの治療へのマイナス影響については過度に心配することもないと言えると思います。

いずれにしても、不妊治療は長期戦になるほうが圧倒的に多いわけで、ストレスを上手にマネージメントすることはとても大切なことに違いはないと思います。