たんぱく質の摂取は肝臓のエストロゲン受容体を通して妊娠する力に影響する

生活習慣・食事・サプリメント

2011年02月17日

Cell Metabolism

肝臓のエストロゲン受容体が生殖機能に重要な働きを及ぼしており、そのエストロゲン受容体のスイッチのオン、オフは、食事中のたんぱく質の量に左右されることがマウスを使った実験で突き止められました。

イタリアのミラノ大学の研究グループは、カロリー制限したマウスと肝臓のエストロゲン受容体が欠損しているマウスは、細胞の増殖や分裂の不可欠なホルモン、IGF-1が低下し、子宮内膜の増殖や正常な発情周期の進行に必要とされるレベルを下まわることを確認しました。

そして、カロリー制限マウスに、たんぱく質や炭水化物、脂質を与えたところ、たんぱく質を与えたときにのみ、生殖機能が正常に回復しました。

このことから、食事中のたんぱく質の量は肝臓のエストロゲン受容体の発現を通して、生殖機能に重要な影響を及ぼしていることが分かりました。

コメント

人間はその進化の途上で、女性の食事中の栄養素が貧困になると、赤ちゃんが生まれにくくなるメカニズムが備わるようになったと言われています。

それは、つまりは、赤ちゃんの生育環境も悪いと判断されるからです。

また、飢饉などで食糧が不足した場合、まずは、自分の生命活動を優先するからでもあります。

そのメカニズムの一端が今回の動物実験で明らかになったというわけです。

食事中のたんぱく質が少なくなると、肝臓のエストロゲン受容体のスイッチが入らなくなり、IGF-1というホルモンの濃度が低下し、子宮内膜の増殖や性欲の増進が妨げられるというものです。

翻って、現代では、女性の間では、低たんぱく血症、低脂血症が増え、鉄や亜鉛などのミネラルが不足していると言われています。

この飽食の時代に皮肉にもたんぱく質や脂肪、鉄、亜鉛などが不足しているというのです。その原因としては、間違ったダイエット、間違った健康食、あるいは、パンやスナック菓子などの加工食品が影響しているのではないかとされています。

その中でもたんぱく質は生殖活動に最も重要な役割を担っています。

最終的には3キロの赤ちゃんがお腹の中で育つわけで、それは主にはたんぱく質で、母親の食事を通してのみ供給されるわけです。

いろいろな食材や食品が妊娠にいいと言われることがあります。いろいろな健康食品が不妊に効くと宣伝されています。

ところが、本当に必要なのは、新しい命のベーシックなパーツになるたんぱく質、そして、パーツを組み立てる化学反応をすすめる酵素の材料になるたんぱく質、さらには、それを助けるビタミンやミネラルです。

つまり、決して、珍しいものではなく、3大栄養素である、たんぱく質や炭水化物、脂質、そして、2大栄養素である、ビタミンやミネラルを過不足なく摂ることで十分なのです。

もしも、サプリメントで補充するのであれば、まずは、ビタミンやミネラルを選択すべきです。