酸化ストレスと胚のグレードと妊娠率との関係

不妊改善・生殖医療関連

2010年03月04日

Fertility and Sterility

体外受精で3日目の培養液中の活性酸素の濃度が高いほど、胚のグレードや妊娠率が低くなることが、アメリカで実施された試験で明らかになりました。

オハイオ州のCleaveland Clinic Foundationの研究チームは、体外受精を受けている56名と顕微授精を受けている36名の患者の3日目の培養液中の活性酸素濃度と、3日目と5日目の胚のグレードと移植後の妊娠率の関係を調べました。

その結果、3日目の培養液中の活性酸素濃度が高いほど、胚の分割スピードが遅く、フラグメンテーションが多く、胚のグレードが低く、妊娠率も低いことが分かりました。

コメント

これまでの研究で、卵胞液の培養液中の活性酸素の濃度が高いほど、妊娠率が低いと報告されています。

活性酸素とは、細胞での呼吸、つまり、食事で取った栄養素を呼吸で体内に取り入れた酸素で燃やし、エネルギーを産生する過程で状態が不安定な酸素が出来てしまいます。

この状態の不安定な酸素を活性酸素と呼んでいます。

状態が不安定であることから、とても強い酸化作用をもっているために、外部からの異物を排除してくれるのですが、過剰な量になってしまうと、今度は、細胞を傷つけてしまいます。過剰になるのは、活性酸素の量と体内の抗酸化力のバランスが崩れてしまった時です。

そのような状態になると酸化ストレスが高くなり、この状態が続くと、いろいろな病気の原因になってしまうわけです。

そして、卵子や精子をも攻撃し、DNAにダメージを与えますから、卵子や精子のDNAに損傷を引き起こすと、当然、受精率が下がり、流産率が高くなってしまいます。

酸化ストレスが高くなること避けるには、まずは、過剰な活性酸素が出来ないような生活をすること。

具体的には、強いストレスを避けること、活性酸素を大量発生させてしまうタバコは吸わないこと、大量にお酒を飲まないこと、睡眠不足にならないことなどです。

そして、体内の抗酸化作用を高めること。

具体的には、野菜や果物をたくさん、そして、バランスのよい食生活を心掛けること、サプリメントで抗酸化ビタミン、ミネラル、植物性抗酸化物質を補充することです。