年齢別人工授精(+クロミフェン周期)治療成績

不妊改善・生殖医療関連

2009年01月08日

Fertility and Sterility

人工授精(クロミフェンによる過排卵を伴う)の周期あたり妊娠率は、年齢が高くなるほど、また、治療周期が多くなるほど、低下し、41歳を超えると妊娠率の低下は著しくなり、43歳以上では、治療を受ける意味がさほどなくなることが、アメリカのハーバード大学医学部の研究チームの調べで明らかになりました。

2002年9月から2007年7月までの期間で、ボストンIVFクリニックで、クロミフェンによる過排卵を伴う人工授精を受けた、1738名の4199治療周期の周期あたりの年齢別妊娠率を出しました。

その結果、34以下の983人は、2351周期中238妊娠し、周期あたりの妊娠率は11.5%でした。35~37歳(422人)の947周期では、周期あたり妊娠率は9.2%、以下、同様に、38~40歳(265人)の614周期では、7.3%、41~42歳(81人)の166周期では、4.3%、43歳以上(55人)の120周期では、1.0%でした。

年齢別の累計妊娠率は、34歳以下で、24.2%、35~37歳で18.5%、38~40歳で15.1%、41~42歳で7.4%、そして、43歳以上では1.8%でした。

コメント

人工授精には、自然周期(排卵誘発剤を使わない)で受ける場合と、妊娠率を高める目的で、クロミフェン等の排卵誘発剤で複数の卵子を排卵させて行う場合があります。

アメリカでは過排卵を伴う人工授精が一般的です。

今回の報告は、アメリカのハーバード大学医学部大学院と提携関係にある、ボストンIVFクリニックの人工授精の治療成績を年齢別に調査した結果です。

人工授精などの一般不妊治療の年齢別治療成績も、体外受精などの高度生殖補助医療と同様、年齢が高くなるほど低下することが示されています。

ただし、40歳くらいまでは、低下のカーブは比較的緩やかですが、41歳を超えると、急になり、43歳を超えると人工授精という治療法で妊娠を望むことが、 大変困難になるようです。