PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の排卵誘発はクロミフェンが第一選択薬

不妊改善・生殖医療関連

2007年02月08日

the New England Journal of Medicine Vol.356 P.551-566

排卵障害による不妊症の原因になるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)には、クロミフェンが最も効果的であることから、クロミフェンをPCOSの第一選択薬とすべきであると、アメリカ政府の資金援助を受けた大規模な試験結果から明らかになりました。

PCOSによる排卵障害で不妊症と診断された626人の女性を対象に、それぞれ、クロミフェン、メトフォルミン、そして、クロミフェンとメトフォルミンの併用を、6ヶ月以上摂取してもらったところ、出産に至った確率が、クロミフェン単独摂取のグループで22%、メトフォルミン単独摂取で7%、クロミフェン、メトフォルミン併用摂取のグループで27%でした。

尚、研究に携わった研究者は、併用摂取による成績は、クロミフェン単独摂取に比べて統計的な優位性はないとしています。

コメント

アメリカでは、PCOSによる無排卵や排卵障害の患者に、クロミフェンを処方するのは、もはや、時代遅れで、メトフォルミンを処方するのが一般化しつつあったのか、研究者は、メトフォルミンは、医師が思っているほど効果的ではないと指摘しています。

いずれにしても、これまでは小規模な試験がほとんどだったようで、メトフォルミンの有効性への期待が先走っていたということなのでしょうか。

日本では、やはり、クロミフェンをまずは処方されるところが多いのではないでしょうか。

また、PCOSによる無排卵や排卵障害がある場合は、もしも、肥満気味であれば、まずは、食事療法や運動によるダイエットを試みることが大切です。

ホルモン療法を整理しますと、

1) クロミフェンによる排卵誘発、
それで、効果がみられない場合は、
2)インスリン抵抗性改善薬、
それで、効果がみられない場合は、
3)クロミフェン+インスリン抵抗性改善薬
それで、効果がみられない場合は、
4)ゴナドトロピン
それで、効果がみられない場合は、
5)インスリン抵抗改善薬+ゴナドトロピン

そして、
6)体外受精