腹腔鏡による子宮筋腫核出術後の妊娠率

不妊改善・生殖医療関連

2006年08月02日

Fertility and Sterlity July 2006

腹腔鏡下手術による子宮筋腫核出術後の女性の妊娠率は良好で、経験豊富な医師による手術であれば安全であると、イタリアのボローニャ大学のDr.Renato Seracchioliらが生殖医療専門誌に発表しました。

研究チームは、514例の手術後、158の妊娠が確認されたとしています。
手術時の女性の平均年齢は34歳で、全体の半数以上は、5㎝以上の筋腫が3つ以上ありました。

そして、手術を受けてから妊娠するまでの平均の期間は18ヶ月でした。

ただし、流産率が27%で、ほとんどが3ヶ月までの早期流産で、自然妊娠における10~15%の流産率に比べると高かったようです。

子宮への外科的治療後の妊娠の最も深刻な合併症である子宮破裂は1例もなかったようです。

結局、106人が出産し、75%という高い割合で帝王切開によるものでしたが、いずれのケースでも必要に迫られてのものではなく、慎重を期しての選択的な判断だったとのこと。

コメント

子宮筋腫とは、子宮の筋肉からできる良性のできもの(腫瘍)のことです。
なぜできるのかはよくわかっていません。

40歳以上になると3人に1人の高い頻度で発見されると言われています。

まず、大切なことは、子宮筋腫があるからといって、必ずしも、不妊の原因になるわけでなく、ほとんどのケースでは心配するには及ばないということです。

子宮筋腫があっても、問題なく妊娠し、出産されています。

今回報告されているような手術によって筋腫を切除することが必要なのは、例えば、筋腫がとても大きく、明らかに妊娠の妨げになっているとか、筋腫の場所が子宮を変形させるようなところになるとか、そして、他に不妊の原因がなく、一定の期間以上経過しても妊娠しない場合などです。
それぞれのケースで判断されます。