葉酸は先天性障害の予防に加えて、その程度をも軽くする

不妊治療のリスク

2006年03月07日

the Journal of the American Academy of Pediatrics

葉酸は、先天性欠損症を予防するだけでなく、先天性欠損症で生まれた子供の生存率を高めることにも寄与していることが、最新の研究によって明らかになりました。

アメリカのコロラド州公衆衛生環境局は、二分脊椎症で生まれた子供の生後1年間の生存率を追跡調査したところ、1998年以前は、90%だったのに対して、1998年から2001年では、92%に上昇していることが判明しました。
アメリカ合衆国政府は、1992年に妊婦への葉酸摂取を推奨し、1996年に栄養強化をうたうすべてのパンやシリアルなどに葉酸の添加を義務づけたことから、生後1年間の生存率の情報は、葉酸の働きであると考えられるとの見解を示しています。

要するに、葉酸は、二分脊椎症をはじめとする神経管閉鎖障害の予防のみならず、発症した場合は、その程度を軽くする働きがある可能性が大きいと言えるというのです。

葉酸は、ビタミンB群の1つで、野菜や果物、その他の食品に含まれ、サプリメントとして妊娠前後の摂取を推奨されています。

コメント

葉酸が、二分脊椎症等の先天性障害の予防に有効であることが判明し、アメリカやイギリス、カナダ等の諸外国では、妊娠の可能性のある女性に葉酸摂取を呼びかけたり、パンやシリアルに葉酸の添加を義務づけたりした結果、二分脊椎症の発生が大きく減少したのに比べ、対策が遅れた日本では、それらの国々とは、逆に、この10年間で胎児神経管閉鎖障害の発生率は漸増し、1万人に6人の割合で発症していると言われ、アメリカの8倍、イギリスの6倍となっているのが現実です。

妊娠を意識したときから葉酸のサプリメントを摂取することが大切です。