不妊治療によって子供への障害が増えることはない

不妊治療のリスク

2005年11月01日

Heraod.com

不妊治療によって生まれた子供には、自然妊娠に比べて、先天性の欠損症や染色体の異常のリスクが高まることはないと最新の調査研究で明らかになり、「the Journal Obstetrics & Gynecology」の11月号に掲載されています。

ただし、体外受精による妊娠では、多胎妊娠のリスクが高まるとしています。

それでも、今回の発表は、排卵誘発剤の使用や体外受精等への不安を多少は和らげるものでしょう。

調査は、36062例の妊娠を対象としています。
34286例は自然妊娠で、1222例は卵巣刺激(排卵誘発剤を使用して卵をたくさん育てた)周期の妊娠、そして、554例は体外受精による妊娠でした。

多胎妊娠のリスクが高まることについては、不妊治療による多胎妊娠の割合や多胎妊娠によって低体重児や早産のリスクが高まること、そして、移植する胚の数を減らすことで多胎妊娠のリスクを低下させることが出来ることを、患者に説明するべきであるとしています。

コメント

不妊治療において、ホルモン剤によって卵巣を刺激することや体外で人為的に受精させることで、何らかの障害が起こるのではという心配は誰しもされるものです。

心配しすぎることは治療の成績にもマイナスの影響を及ぼすという報告もあります。治療によって高まるリスクについては、正しく知っておくことは大変重要なことです。

実際のところ、リスクを出来るだけ正確に把握するためには、これまでの事例を知ることしかありません。

今回発表された調査報告では、特に、治療を受けて妊娠したからといって、先天性の障害や染色体異常が増えることはないとしています。

そして、多胎妊娠のリスクが高まるものの、さまざまな方法で、良好な胚を、少ない数(1~2個)移植することで、妊娠率を下げずに多胎妊娠のリスクを下げることが可能になってきているようです。

また、体外受精を受けることで、妊娠中毒症や胎盤の障害が少ない確率ながら増加したり、そもそもの成功率が低いことが根本的な問題であるのではともいわれているようですが、高度な生殖医療を受ける女性は、もともと、年齢的に高い傾向にあり、そのことによって起こりえるリスクを考慮に入れる必要があると指摘しています。

以上の事柄を踏まえた上で言えることは、不妊治療で使用する排卵誘発剤や体外受精によるリスクは、過剰に心配する必要はないと言えるのではないでしょうか。

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