2003年の1年間で、新生児の65人に1人が体外受精で誕生

不妊改善・生殖医療関連

2005年09月14日

日本産科婦人科学会(平成16年度倫理委員会・登録・調査小委員会報告)

日本産科婦人科学会は、2003年度の体外受精・胚移植等の臨床実施成績を発表しました。
それによりますと、2003年度に体外受精や顕微授精等の高度な生殖補助医療によって、出生した子供の数は1万7400人で、累計数が11万7589人となっています。

前年(2002年度)比は114.3%で、2177人増えています。

また、2003年度の全出生児数は112万3610人であることから、全体に占める割合は1.5%で、65人に1人の赤ちゃんが体外受精によって生まれたことになります。

さらに、全体の治療成績では、新鮮胚による体外受精では以下の通りです。

患者総数 26,102
治療周期総数 38,162
採卵総回数 36,078
移植総回数 27,857
妊娠数 8,300
移植当たり妊娠率 29.8%
採卵当たり妊娠率 23.0%
流産数 1,859
妊娠当たり流産数 22.4%
多胎妊娠数 1,495
妊娠当たり多胎率 18.0%
生産分娩数 5,506
移植当たり生産率 19.8%


コメント

日本産科婦人科学会では、毎年、体外受精や顕微授精等の高度な不妊治療を実施する登録施設を対象に、治療数や治療成績を調査、集計し、発表しています。

9月12日に発表されたのは、2003年度分です。

出生児数の傾向として、年々、少子化が進行し、出生児数が減少していく中、逆に、体外受精や顕微授精といった高度な不妊治療によって出生する子供の数が増加しており、全体に占める割合が年々、上昇し、2003年度では、65人に1人という割合となっています。

不妊治療の治療成績は、体外受精の場合で18%と、前年の19.7%とほとんど変わっていないことから、不妊治療を受けるカップルが増加したことになります。

いずれにしても、体外受精等の不妊治療は世間が想像している以上に一般化しているようです。

この調査発表の数字は、あくまで全体の数字のみですから、全体の傾向をつかむことしか出来ません。

アメリカやイギリスのような、各施設毎の治療数や治療成績は日本では公表されていません。

ですから、施設を選ぶ際の参考には、全くなりえず、不妊治療を受けるカップルにとっては、乏しく、ともすれば、不確かな情報を頼りに、手探りで病院を探さざるを得ないのが現状です。

今後は、もっと、不妊治療を受ける側の視点を考慮した情報整備が急務と考えます。

★2003年度体外受精・胚移植等の臨床実施成績及び登録施設名
http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/Rinri/Rinri_report5710.pdf

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