顕微授精は出生児の健康状態に影響を及ぼすことはない

不妊治療のリスク

2005年03月09日

Pediatrics VOL.115 No.3 March 2005 283-289

顕微授精によって生まれた子供は、体外受精や自然妊娠で生まれた子供と比べて、5歳時点での知能や運動能力において、なんら変わりのないことが、多国籍調査によって判明しました。

顕微授精とは、顕微鏡で卵を観察しながら、選別された精子1個を卵子に注入し、受精させる不妊治療のこと。顕微授精は、生存競争に勝ち残った1個の精子が卵子に到達し受精が起こるというプロセスがなく、人間によって、恣意的に選ばれた精子を卵子に注入するため、その影響が常に懸念されるところでした。

そこで、イギリスの大学の研究グループは、5つのヨーロッパの国々から、顕微授精により出生した511名、体外受精により出生した424名、そして、自然妊娠で出生した488名の5歳の子供を対象に知能、運動能力を測定しました。

その結果、知能においても、運動能力においても、なんら、有意差は見られませんでした。

この研究結果は、小児科学の医学専門誌「Pediatrics」の最新号に掲載されました。

コメント

不妊治療を受ける際の最も大きい心配事は、治療を受けることで、生まれてくる子供の何らかの悪い影響が及ぼすことがないかどうか、ではないでしょうか?

先日も、日本産婦人科学会では、将来的に全ての体外受精による出生児の追跡調査を実施することが、決定されましたばかりです。

今回の決定は、5歳時点での子供の知能や運動神経を調べてもので、基本的には、治療の影響は見られないということで、一安心といったところです。