多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に糖尿病薬が効果的

不妊改善・生殖医療関連

2004年09月10日

WABC New York 2004/09/10

アメリカのスタンフォード大学の研究者は、PCOSについて次のように話しています。「PCOSの人でも、排卵があって、妊娠する人もいます。ただし、その確率はとても低いものです。PCOSの人は、テストステロン(男性ホルモン)やインスリンが高い値を示します。そこで、私たちは排卵誘発剤のクロミッドとインスリンの効き目を高めるメトフォルミンの併用を実際に患者に処方し、その効果を研究しています。研究では、それらの薬を単独で処方した場合と併用した場合の効果を比較しています。」

これまでのところ、結果は満足すべきもので、多くの女性がその処方により、妊娠しているようです。

コメント

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)への糖尿病薬「メトフォルミン」の使用は、欧米では、既に広く知られ、使われています。
日本国内ではメトフォルミンという薬は不妊の治療薬としては認可されていないのですが、既に、処方している医師も多いようです。

PCOSによる排卵障害があって、血糖値やインスリンの検査によって、インスリン抵抗性が高いことが判明したケースが適用となります。

インスリン抵抗性が高いというのは、血糖値を下げる働きのあるインスリンの働きが悪いということで、血糖値を下げるのに多くのインスリンを必要とするので、インスリンが多く分泌されるようになります。インスリンが多く分泌されることとPCOSがどんな関係にあるのかと言いますと、それが卵巣に作用することで、PCOSの原因となる男性ホルモンの産生を促進するというメカニズムからです。

そこで、インスリンの効き目を高めるメトフォルミンを摂取することで、インスリン抵抗性を下げて、インスリンの分泌量を低下させようとするのです。
PCOSと診断された方は、インスリン抵抗性を疑ってみても良いのではないでしょうか。

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