step5医療の力を借りる

いつから始める?

治療を受けるかどうかはさておき、病院を受診する目安について、考えておきましょう。

病院を受診するタイミング

なかなか赤ちゃんが授からないと、病院に行って相談したほうがいいのか、いつ行けばいいのか、気になるものです。

他の病気と違って、自覚症状がないことがほとんどです。また、女性にとっては内診が恥ずかしいという思いから、受診に踏み出せず、先延ばしにすることもあるでしょう。

それぞれのカップルによって、受診のタイミングは違うでしょうが、一つの目安としては「子どもを望んで、自分たちなりに試してみたけれど、このまま自然に妊娠する可能性が低いのでは?」と考えたとき、といえます。

そして、二人が「治療を受けてでも子どもが欲しい」と気持ちが一致したときです。

とはいえ、それほど肩ひじを張る必要もなく、「とりあえず検査をして、専門家の意見を聞いてみよう」くらいに考えて、病院を訪ねてもかまわないのです。


妊娠していない期間や女性の年齢を目安に

そろそろ受診を考えてはどうか、という具体的な目安をピックアップします。


(1)妊娠を意識してから1年以上
自分でタイミングをはかっているにもかかわらず、1年以上妊娠しないのなら、どこかに妊娠しにくい要因があるのかもしれません。また、自分なりにタイミング法にトライしているのに妊娠しないのなら、予測した排卵日がずれている可能性も。妊娠しにくい要因がないかどうか、検査をしてみてもいい頃ではないでしょうか。


(2)妊娠しにくい要因がありそうなケース
排卵が起こっていなければ、いくら努力しても妊娠には至りません。目安は、基礎体温表に高温期が見られずフラットな状態なときは、排卵していない可能性が考えられます。また、月経不順や無月経が続くときは要注意です。日常生活に支障をきたすほどの月経痛、不正出血がたびたびある、婦人科の病気をしたことがあるなども、早めに医師に相談したほうがいいでしょう。


(3)女性の年齢が35歳以上
女性の年齢は、妊娠と深い関係があります。妊娠しにくい要因のもっとも大きなことは、女性の加齢です。卵子は年々老化していくからです。また、体外受精では、35歳以降は妊娠率が下がります。もちろん、35歳以上で自然に妊娠・出産する人はたくさんいますし、受診しないで自然にまかせても妊娠するかもしれません。ただ、あとになって「もっと早く受診すればよかった」と後悔しないためにも、年齢のリスクを考えて、早めに検査を受けておくのが無難ということです。


「通院=治療のスタート」ではない

病院に通い始めることは、「即、治療を始める」ということではありません。まずは、妊娠を妨げている要因はないか、それを突き止める検査から始まります。

不妊治療は、すぐに原因が明らかになって、その原因の治療を進めるというケースは実は少なく、検査を繰り返しながら、これまで妊娠しなかった原因を探していくのが一般的です。また、特に原因が見あたらない場合でも、妊娠を目指す治療はできます。受診すると、月経周期に合わせていくつかの検査を行いますが、並行して排卵日を予測してセックスをするタイミング法(タイミング指導)を行うことがほとんどです。子どもを望んで通院しているのだから、効率よく検査と治療を同時進行するのが目的です。

どんな治療もそうですが、もしも受けたくなければ、やらなくてもいいのです。「検査だけ受けて、積極的な治療はしない」という選択もあります。

妊娠しにくい要因があるかないかわからず不安になるよりも、一度確かめて、その上で治療をする・しない、どこまで治療するのか、カップルで話し合ってみてはどうでしょう。

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