【回答者】
セルフサポートグループ NPО法人Fine(ファイン)代表 松本亜樹子さん
咲さん、こんにちは。
せっかく妊娠したのに、2度の流産という体験をなさって・・・とてもつらかったですね。
私もごく初期ですが流産の経験があるので、お気持ちが、少しわかると思います。
そして、だからこそ余計に子どもを望む気持ちは強まり、あきらめきれませんよね。
「うん、うん」ってうなずきながら、咲さんのメールを拝読しました。
そんなつらい体験を経ながらも、頑張って続けてこられたお仕事。
「辞める」という決断は、とても大きくて、決めかねるのは当然のことだと思います。
いくらお仕事内容に未練はないといっても、
23年間も勤めてこられたわけですから、経済的な面だけでなく、
これまでのキャリアや職場に対しての愛情もおありでしょう。
また、ご自分が辞められた後、後輩の方へのしわ寄せが行くことを心配なさっているあたり、
咲さんは本当にやさしくて、責任感の強い方なんだなぁと、感じ入りました。
そう、咲さんは、もう、たくさんご自分で考えて、いろんなこともわかっていらっしゃるんですよね。
治療に専念しても、妊娠できるという保証は残念ながら、ないこと。
だからこそ、治療のために仕事を辞めてしまったら、
その後の空虚感を埋めるものがなくなるかもしれないという不安。
でも、治療をするなら今しかない、という年齢的なあせり・・・。
いろんなお気持ちが渦巻いて、混沌としていらっしゃるのが伝わってきました。
でも咲さんのすばらしいところは、
「自分で決めなくてはならないのだ」ということを、ご自身が一番自覚していらっしゃることです。
これは、当然のようでなかなかできないことだと思います。
さて、そんな咲さんへ、私からいったいどんなアドバイスができるだろう? と、
あれこれ考えたときに、月並みですがやはりこれしか浮かびませんでした。
「まずは職場と病院と両方に相談して、理解・応援してもらい、
なんとか仕事を続けながら治療も進められる方法を、見出してみませんか?」ということです。
つまり、欲張りですがどちらも選んで、続けられるかどうか試してみる。
ダメモトでも、トライしてみる。
もしも治療が進むにつれて「やっぱり両立は不可能!」となってしまったら、
その時点で初めて、仕事を辞めることを考えてみてもいのではないでしょうか。
やめる決断は、そのときでも、決して遅くはないと思います。
咲さんの場合は、まだ治療はこれから本格的に始まるわけなので、
いざ始まってみないと、どれだけ時間などの負担がかかるかわかりませんよね。
ご近所の医療事情がわからないのですが、
治療そのものは専門の施設へ行く必要があっても、
例えば「注射だけ」などであれば、家か職場の近くの病院でやってもらうことも可能だと思います。
また、もしも会社に医務室があり専門の医療スタッフがいる場合は、
排卵誘発の注射(薬剤)を病院で処方してもらって持ち帰り、
会社の医務室でお昼休みなどに注射してもらうことも可能かと思います。
そして、通院日を極力減らしてもらう。
そうすれば、仕事を続けながら治療を行なうことも、可能ではないでしょうか。
実際にそうやって治療をしている人もいますよ。^^
咲さんが通っていらっしゃる病院のドクターの方針にもよるかもしれませんが、
事情を話してお願いしたら聞き入れてくれる場合も多いと思います。
ぜひ、トライしてみてはいかがでしょう。
それにしても、咲さんのご相談でつくづく思ったのは、
通院と仕事の両立で悩む人がいかに多いかということ。
そして、だからこそ、通院の負担を軽減するためにも、
自己注射(自分で注射をすること)は、不妊治療の大きなキーポイントのひとつだなぁ、ということです。
日本では、まだ正式には、不妊治療の排卵誘発の自己注射は認められてはいませんが、
海外では自己注射はごくごく普通のことです。
日本でも今後認められる方向に進むと、私は思っています。
また実際に国内でも、患者がそれを望んだ場合は自己注射を実施している施設もあるようです。
注射だけでも通院しなくてすむようになれば、
咲さんのように仕事との両立で悩んだり、
治療のために退職を選択する人が、ぐんと減ることは間違いないですよね。
患者にとって、いえ、不妊治療にとって、
排卵誘発の自己注射は、大きな課題のひとつになっているといえます。
NPO法人Fineでも、この自己注射の認可を数年来のテーマにしていて、
近く厚労省へ正式に要望書も提出する予定です。
咲さんのように、両立で悩んでしまう人、仕事を辞めざるを得なくなってしまう人が、
もうこれ以上増えないように、
一日も早く、日本でも自己注射が認可される日が来ることを、願わずにはいられません。
最後に、もうひとつだけおせっかいなアドバイスを小声で(笑)。
あのね、決して「無理」をしてはいけませんよ〜。
体力・精神力的に、ほんのちょっとでも「やっぱりキツイなぁ」と思ったら、
無理して頑張らないで、どちらかをチョイスするのも、立派な前進・英断です。
咲さんは、頑張り屋さんのように感じられたので、ちょっと心配してしまいました。
どうぞ、頑張りすぎないでくださいね。
無理は禁物。
無理すると、後からどこかにしわ寄せが来ちゃいがちです。
これは、同い年の私(の経験)からの、個人的なメッセージです。^^
咲さんが、仕事と治療と、どちらも諦めなくてすむことを、心からお祈りしています。
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