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■ストレスと不妊

現代社会は、ストレスがいっぱいであることに、 異論を唱える人はいないでしょう。
ただでさえ、ストレスを感じやすい社会で生活しているうえに、 なかなか子供が授らないとなると、
ガンなどの命のかかわる病気の宣告を受けるのと
同じレベルのストレスを感じるようになると指摘する専門家もいるくらいで、
それは、大変に辛いことです。

ストレスが原因で不妊になることは既に生理学的に裏付けられていますし、
不妊であることによるストレスがより妊娠を遠ざけることも同様です。
■ ストレス状態でのカラダのメカニズム        
嫌なことに対した時、脳の中の理性をつかさどるところと、
本能に忠実なところとの間で葛藤が起こります。
そして、理性が本能を抑え込んだときにストレス状態が発生します。
そうすると、脳は、“嫌なこと”に対して、闘争する、
あるいは、そこから、逃走するように、カラダを臨戦態勢にします。
ストレス状態を感じとったら、 脳の脳幹にある“視床下部”というところが、
CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンを分泌します。
そして、このCRHは、下垂体と自律神経の2つのルートに働きます。
■ 下垂体ルート  
視床下部から分泌されたCRHは下垂体に作用して、
そこから、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促します。
分泌されたACTHは、血液の流れに乗って、 腎臓の上にある副腎というところに到達し、
今度は、コルチゾール(糖質コルチコイド)というホルモンを分泌させます。
このコルチゾールは、ブドウ糖を製造します。
血糖値を上げ、カラダを“臨戦体制”にするために、
コルチゾールというホルモンにブドウ糖を用意という訳です。
ところが、この状態が長く続くと、思わぬ副作用が起こってしまいます。
コルチゾールは、免疫作用を抑制したり、
同じく副腎皮質から分泌されるコルチコステロンというホルモンは、
脳の神経細胞の働きを抑制します。
その結果、ストレス状態が強く、長引くことによって、
免疫力が低下し、病気にかかりやすくなったり、 脳の働きが低下し、
作業効率が落ちたりするようになるのです。
■ 自律神経ルート  
視床下部から分泌されたCRHは、 交感神経を活性化させ、副交感神経を抑制します。
これも、カラダを臨戦体制にするために、 交感神経はノルアドレナリンを分泌、
さらに、副腎の髄質というところを刺激し、 そこから、アドレナリンというホルモンを分泌させます。
アドレナリンやノルアドレナリンは、コルチゾールと同様、血糖値を上げ、
心拍数を増やし、血管を収縮させて血圧を上げます。
このようにアルアドレナリン・アドレナリンは、お互いに協力しあって、
脳やカラダに活動態勢をとらせる働きをするのですが、
これも長く続くと、疲弊し、好ましい状態ではなくなります。
■ ストレスによって妊娠しづらくなるメカニズム
不妊が先でも、ストレスが先でも、いずれにしても、 ストレスによって、妊娠しにくくなります。
今度は、どのようなメカニズムが考えられるのか、みてみることにしましょう。
ストレスを受けることで、 カラダを臨戦態勢にもっていく生体反応はこれまで述べた通りですが、
このホルモンの分泌経路をどこかで聞いたことがありませんか?
★ストレス時に活動態勢をとらせるホルモンの分泌経路

       視床下部→〈CRH〉→下垂体→(ACTH)→副腎皮質

     ★毎周期の生殖機能を働かせるホルモンの分泌経路

       視床下部→(GnRH)→下垂体→(FSH・LH)→卵巣

そうです、生殖ホルモンの分泌経路と司令塔は全く同じところなんです。
最終の標的は、副腎皮質か卵巣かで異なりますが、
司令塔は、全く同じ“視床下部−下垂体のコンビ”です。
平常時であれば、きとんと生殖機能をコントロールしているのですが、
過度のストレスが長引いてくると、自分のカラダの緊急事態に対処する生体反応を最優先し、
生殖機能を含む他の日常的な生命活動が犠牲になってしまうのです。
要するに、ストレスへの対応で手一杯になって、
生殖ホルモンのコントロールがおろそかになってしまうということです。
自分のカラダのことで精一杯で、 子孫を残すための余裕がなくなってしまう、
ということが、言えるかも知れません。
その結果、生殖ホルモンがきちんと分泌されなくなって、
卵巣の反応も鈍くなり、 排卵障害、場合によっては無排卵になってしまうこともあります。
もう一方の自律神経ルートではどんな事態になっているのでしょう。
自律神経では、ストレスによって、 交感神経が活性化され、副交感神経が抑制されてしまいます。
その結果、血管が収縮されると、 血流が悪くなり、カラダが冷えやすくなります。
また、免疫革命等の多くの著書で注目されている免疫学者の安保先生は、
副交感神経が抑制されることで、
月経血が逆流し、子宮内膜症を起こし、
血流障害が長引くことで子宮筋腫が出来やすくなり、
さらには、顆粒球が多くなることで、 卵管に炎症を起こしやすくなると指摘されています。
いかがでしょうか?
ほとんどの不妊の原因のオンパレードと言った感じです。
まさに、ストレスは侮れません。
■とっても重要なストレス対策  

アメリカで実施された調査でも、過度な不安や心配、焦り等の精神状態が、
体外受精等の不妊治療において、
どれだけの良好な卵子が採卵できるか、
そして、採卵後の受精率、
さらに、胚移植後の着床率、
妊娠継続率等、
すべての治療のステップにおいて、
結果に大きく影響を及ぼしていることが明らかになっています。

不妊改善はカラダの面からだけでは、 片手落ちなのは明らかです。
こころの面、要するに、正しいストレス対策がとても大切です。
適度な飲酒を勧める専門家もいるようです。
ところが、酔っぱらうとストレスが紛れたような気分になりますが、
カラダは依然としてストレスを受け続けていることが最近の研究によって証明されています。
 
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