食事パターンは精子の質に関連する

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2018年05月28日

Fertil Steril 2018; 109: 809

健康的な食生活と精子の質は関連し、特に、野菜や全粒穀物、オメガ3脂肪酸、ナッツ類を多く摂り、赤身肉や加工肉、精製された穀物を少なく食べる、食事パターンが最も精子の質と関連することがイスラエルで実施された研究であきらかになりました。

アリエル大学の研究者らは、4種類の食事パターン「HEI(健康食指数)、DASH(高血圧予防食)、aMED(代替地中海食)、AHEI(代替健康食指数)」と精子の質の関連を調べるべく横断研究を実施しました。

ラディンメディカルエンターに通院する男性患者280名に過去半年間の111種類の食品の摂取頻度と量を、質問票(食物摂取頻度調査票)に回答してもらい、被験者の4種類の食事パターン度、すなわち、それぞれの食事パターンにどれだけ近い食べ方をしているかを、スコア化しました。

そして、それぞれの食事パターンスコアで4グループにわけ、最も低いグループ(最低スコア群)と最も高いグループ(最高スコア群)の男性の精子濃度・総精子数・精子運動率・正常精子形態率を比較しました。

いずれの食事パターンもほとんどの精液検査項目で最高スコア群は最低スコア群に比べて良好な結果でしたが、AHEIが精子濃度、総精子数、正常精子形態率でスコアの最高群と最低群に有意な差がみられました。

・HEI:精子濃度、精子運動率
・DASH:精子濃度、正常精子形態率
・aMED:精子運動率
・AHEI:精子濃度、総精子数、正常精子形態率

このような結果から、健康的な食べ方は、精子の質と関連し、特に、AHEI食が最も関連したことから、全粒穀物や魚、ナッツを多く食べ、赤身や加工肉、精製穀物、甘味料入飲料を少なくする食べ方が推奨されると結論づけています。

コメント

これまで、特定の食事パターンと精子の質との関連を調べた研究報告は数多くなされていましたが、初めて、代表的な4種類の食べ方と精液検査結果の関連を調べ、比較したとのこと。

食事パターンは以下の通りです。

1)HEI(Healthy Eating Index):健康的な食生活指数。アメリカ食生活ガイドラインに近いかをスコア化したもの。
2)DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension):高血圧を予防し治療するための食事法
3)aMED(alternate mediterranean diet):代替地中海食
4)AHEI(alternate Healthy Eating Index):代替健康食指数。HEAの改訂版。

どの食事パターンでも、概ね、最高スコアの男性は最低スコアに比べて精液検査結果が良好でしたが、最も精液検査結果とリンクしたのはAHEI(Alternative Healthy Eating Index)だったとのこと。

野菜や精製度の低い穀物、オメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸、ナッツ類を多く食べ、適度な飲酒を心がけ、赤身肉や加工肉、精製された穀物、砂糖入り清涼飲料水を少なくするという食べ方です。

地中海食や高血圧予防食も精子の質にはよい影響を及ぼしているものの、アメリカ食生活指針に近い食べ方が最もよい影響を及ぼしていると考えられるというわけです。

この結果から言えるのは、それぞれの国が自国民のために作成している健康的な食事指針がベターであるかもしれないということです。

日本人男性にとっては、日本の農林水産省と厚生労働省が作成した食事バランスガイドをベースにすることがよいと言えるのかもしれません。